2021.11.25

退職の意思は何ヶ月前に伝える?円満に辞めるための必要な期間や伝え方

「退職の意思は何ヶ月前に言えばいいの……?」と悩む方も多いですよね。トラブルなく退社するためにも、ある程度余裕を持って退職の意思を伝えましょう。この記事では、退職の意思を伝える適正な時期や、円満退社につながる退職理由の伝え方を紹介します。

退職は何ヶ月前に伝えればいい?


退職の意思を何ヶ月前に伝えればよいのか、迷う人も多いですよね。
1ヶ月前なのか3ヶ月前なのか、会社によって基準は変わります。

基本的には会社の定める時期までに、直属の上司へ退職の意思を伝えましょう。
ここでは法律上の決まりや、一般的に就業規則で定められている期間を解説します。

民法上では2週間前に伝えればよいとされている


法律上では、「期間の定めのない雇用契約」の場合、退職する2週間前までに退職届けを提出すれば退職が可能となっています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:民法第627条(外部リンク)


つまり、「2週間前に退職の意思を伝えれば、法的に会社はあなたを引き止めることはできない」ということになります。
しかし2週間前に退職を伝えるのは、会社に迷惑がかかるためおすすめできません。

法律的には問題ありませんが、会社側は引き継ぎ作業や後任探しなど時間を要するためです。
そのため2週間前の報告だと、円満に退職するのは難しいと言えるでしょう。

就業規則で「1ヶ月前」と定めている企業が多い

就業規則には、退職の申し出について記載されています。

一般的には引き継ぎや求人などの関係から、「退職の1ヶ月前」と定めている企業が多いです。
そのため、遅くとも退職予定日の1ヶ月前までに退職意思を伝えることをおすすめします。

就業規則に記載されている退職についての内容は、それぞれの企業によって異なります。
よほどの理由がない限りは、就業規則に沿った方がトラブルなく円満に退職ができるでしょう。

記載された期間に無茶がある場合

退職の6ヶ月前や1年前などと、就業規則で定められた期間に無茶がある場合が稀にあります。
そもそも6ヶ月前というのは、一般的な引き継ぎ業務などに必要な期間を超えているため、無効になると考えられます。

こうした場合は民法に従い、退職の2週間前までに解約の申し入れをすれば退職することが可能です。

パートの場合は退職の何ヶ月前に言えばよい?

パートやアルバイトの人は、雇用期間が定められているケースがほとんどでしょう。

「雇用期間に定めがある場合」は、民法627条が適用されません。
そのため、契約書に定められた雇用期間を過ぎてからでなければ、原則は辞めることができません。

しかし例外が2つあります。

1つ目は、1年以上3年未満の雇用契約を結んでいる場合です。
この場合は、1年を経過した日以降であれば、自由に退職が可能とされています(ただし、この場合でも退職の2週間前に伝える必要があります)。

2つ目は、やむを得ない事情がある場合、契約期間の途中でも退職することができます。
やむを得ない事情の程度は明確にされていませんが、育児や介護、本人の病気などがあげられます。

パート・アルバイトの場合は、雇用期間があるかないかで退職規定が変わるため、事前に確認しておきましょう。

円満に退職したいなら早めの報告がベスト


あなたが今の会社を「円満に退職したい」と考えているなら、退職の意思は就業規則で定められた時期までに報告するのがベストです。

もし退職日までに余裕があれば、「2〜3ヶ月前」の報告が非常に親切と言えます。
 2〜3ヶ月あれば、後任のための求人募集や、引き継ぎ作業などスケジュールに余裕ができるためです。

1ヶ月前でも問題はありませんが、会社によっては「急すぎる」と感じる場合も。
円満退職を目指すなら、就業規則にある時期よりも前に報告することも視野に入れましょう。

しかし、会社によって「丁度いい時期」は異なるものです。
毎日繁忙期で人手不足の会社であれば、半年ほど前から相談するのもおすすめです。

ネットの情報だけに流されず、自分自身で会社の様子を肌で感じて、丁度いい時期を見極めましょう。
上手な退職日の決め方について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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退職までに必要な期間


退職するにしても円満に会社とお別れしたいと思う方が大半でしょう。
円満に退職するために必要なものは「時間」です。

時間があれば、あなた自身も退職の準備に時間をかけられます。
ここからは、円満に退職するためにどのくらいの期間が必要なのか詳しく解説します!

1〜2週間程度|退職の承認を得る期間

退職の意思表示をしてから承認を得るまでには、大体1〜2週間程度かかると考えましょう。
しかし担当している業務や人手の不足、忙しい時期と重なるなどの状況では、もう少し長引く可能性もあります。

また、会社への貢献度が高い人材は、引き留められることもあります。例えば年収アップの条件交渉や、今とは違う仕事内容の提示などが代表的です。

その時の状況や引き留めなどにあえば、思ったよりも時間がかかることもあるため、退職日のすり合わせはしっかりと行いましょう。

退職を引き止められた時の対処法は、こちらの記事で解説しています。

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1週間〜1ヶ月程度|業務の引き継ぎ期間

業務の引き継ぎ期間は、1週間から1ヶ月程度かかると想定しておくのが無難です。
引き継ぎの具体的な内容としては、資料の作成、引き継ぎ担当者への説明、引き継ぎ後のフォローなどがあげられ、いずれもある程度の期間を要します。

業種や担当ポジションによっては、2〜3ヶ月必要とされる場合もあります。
円滑に引き継ぎを行うためには、自分の担当している業務を洗い出し、引き継ぎのスケジュールを決めましょう。

残りの期間から逆算して引き継ぎを行えば、滞りが少なく行える可能性が高くなります。

1〜2週間程度|有給消化期間

有休消化期間は取得した日数によって前後しますが、平均的に1〜2週間程度となる場合が多いようです。
「有給休暇はなるべく余さずに使い切りたい!」という人がほとんどですよね。

そのためには退職交渉をする前に、残りの有給日数を確認しておくとよいでしょう。
有給消化での注意点は、引き継ぎが不十分で有給に入ってしまうことです。

引き継ぎが不十分だと、せっかくの休みに電話がかかってきたり、会社に呼び出されたりといったことが起こる場合があります。

そうならないためにも、事前に有給日数を確認し、引き継ぎスケジュールと併せて計画的に有給を紹介しましょう。

退職意思を伝える方法3STEP+α


円満に退職するには、退職意思の伝え方にも気を配る必要があります。
ここでは、失敗しない退職意思の伝え方を3STEPで解説します。

STEP1.まずは直属の上司に退職意思を伝える

退職を決断したら、まず直属の上司へ退職意思を伝えます。

直属の上司が知らないところで退職の手続きが進行してしまうと、上司の気分を損ない、場合によっては冷遇されされてしまうリスクがあります。

仮に上司が嫌いで話したくない場合でも、そこはマナーと捉え、最初は必ず直属の上司に相談しましょう。

STEP2.意思を伝えたら退職願を提出する

直属の上司に退職意思を伝えた後は、その部署の責任者(課長や部長)に退職願いを提出します。

口頭だけで済まさず、必ず書面で提出しましょう。
口頭だと、言った言わないの水掛け論に発展する場合があるためです。

証拠にもならないため、退職願は必ず書面で作成し、コピーを1部取った状態で提出します。
また、退職願を提出するタイミングは、正式に退職日が決まってからが一般的です。

STEP3.会社が承認したら退職届を提出する

退職願を提出し、会社側が承認したら退職届を提出します。
退職届を提出する相手は、直属の上司で問題ありません。

退職届は正式に退職する日を宣言する書類ですので、一度提出してしまえば撤回はできません。
会社によっては書き方やフォーマットが指定されている場合があるので、人事担当者に確認を取っておくとよいでしょう。

+α.退職代行サービスを利用する

勤めている会社の状況や、あなたの置かれている立場によっては、直接上司に退職の意思を伝えることが困難という状況も考えられます。

その場合は、退職代行サービスを活用することをおすすめします。
退職代行サービスを使えば、どのような理由でも退職することが可能です。

また、退職の話を切り出しづらいという心理的な負担を減らすことも期待できます。
しかし、当然ながら費用がかかってきますし、会社の同僚や先輩、上司との関係性が悪化する可能性も出てきます。

「自分1人では退職できる状況ではない」といった時の選択肢として、覚えておくとよいでしょう。

退職意思を伝える際の注意点3つ


退職意思を伝える際に、注意しておきたいポイントが3つあります。
円満に退社をするためにも、それぞれチェックしておきましょう。

1.必ず直属の上司に相談する

まずは直属の上司に退職の意思を伝えるのがマナーです。
上司を飛び越えてしまうと、直属の上司の監督責任が問われることも。

上司からしても、最初に自分よりも上の人間に報告されるのはいい気がしないはず。
円満に退職するためには「直属の上司」への報告を徹底しましょう!

2.繁忙期を避ける

退職意思を伝える時期は、なるべく繁忙期を避けた方が無難です。
ただでさえ忙しい時期に退職の話を持ち込んでも、取り合ってもらえない可能性があります。

また、引き継ぎを円滑に行えるかどうかという点から、退職時期も繁忙期は避けた方がよいです。
一般的に退職者が増えるシーズンは、年末の12月や年度末の3月あたり。

年度の区切り目に退職を合わせることで、引き継ぎをスムーズに行えるでしょう。

3.いきなり退職届を用意するのはマナー違反

上司への相談の際、ドラマのようにいきなり退職願や退職届けを突きつけるのはマナー違反です。
最初の上司への報告は「退職の意思を伝える」ことが目的です。

報告後に必要であれば、退職願や退職届の準備しておきましょう。
そもそも退職願とは、「退職したいです。許可をください」と会社側に依頼し返信を待つもの。

事前にしっかり上司に報告したのち、退職準備を進める場合は必要のないケースが多いです。
通常必要になるのは「退職届」です。

退職届は、会社側でフォーマットを用意している場合があります。
退職日が正式に決まったあとで、上司へ相談しながら準備を進めるのがおすすめです。

円満退職につながる退職理由の伝え方


退職を伝える時期が決まったら、次に必要なのは「どう退職を切りだすか」ですよね。
ここでは、円満退職につながる伝え方のヒントをご紹介します。

マイナスな退職理由は避ける


上司への退職の報告で必ず聞かれるのが「退職理由」です。
どうせなら「正直な気持ちを伝えたい」と思う方も多いでしょう。

ただし円満退職を目指すなら、マイナスな退職理由は避けるのがマナー。
たとえマイナスな理由で退職を考えている人も、ポジティブな退職理由に変換しましょう。

マイナスな退職理由の例

  • 給料が安い
  • 残業が多い
  • 業務内容が自分に合わない
  • 嫌いな上司がいる
  • 社風が肌に合わない

友達や家族に話す分には問題ありませんが、会社に伝える理由としてはふさわしくありません。
上司がこの理由を聞いても、あまりいい気持ちにはならないはずです。

ポジティブな退職理由の例

ポジティブな理由を考える時は、本来はマイナスな理由をポジティな言葉へ変換しましょう。

  • 「給料が安い」→「スキルが求められる分給料の高い会社で自分を試したい」
  • 「残業が多い」→「これからの人生やプライベートも充実させたい」
  • 「業務内容が自分に合わない」→「新しい仕事に挑戦して成長したい」
  • 「嫌いな上司がいる」→「新しい環境で自分自身を試したい」
  • 「社風が肌に合わない」→「自分らしく働ける場所を見つめ直したい」

「給料が安い」「残業が多い」などの理由は、「会社に不満がある」という風に聞こえますよね。
しかし、ポジティブな言葉に変換すると「自分が変わりたい」という意思を伝えられます。

「あくまで変わりたいのは自分」という理由を用意することが、円満退職に繋がるポイントです。
退職理由に嘘をついてもいいか悩んでいる人は、こちらの記事を参考にしてください。

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会社の都合も考慮する


円満退職したいなら、自分の都合を会社側に押し付けるのは避けましょう。
特に、退職の時期は自分の都合だけでなく、会社の都合も考慮した日程がおすすめです。

上司への相談時に「〇〇日に退職します」と伝えるよりも

「あくまで希望ですが、〇〇日までに退職したいと考えてます」

と伝えた方が会社への配慮も感じられます。
退職の言い方にひとつで、上司を味方にすることも、敵にすることもできます。

円満退職したいなら、最初のスタートは慎重に進めましょう!

会社への敬意を忘れない


円満退職でもっとも大切なことは「会社への敬意を忘れないこと」です。
敬意を示すためには、自分の気持ちを整理してから上司への報告に臨みましょう。

気持ちの整理をしないまま上司と面談すると、

  • 「とにかく退職したい」
  • 「早く辞めたい」

このような焦りの気持ちが言葉にあらわれてしまいます。

早く辞めたい気持ちが先走ると、

  • 「うちの会社のことはどうでもいいのかな」
  • 「会社に感謝の気持ちはないのかな」

と上司に思われても仕方ないですよね。
会社への敬意があれば「退職を伝える時期」や「退職理由」も会社へ配慮したものにできるはず。

円満退職を目指すなら、どんな時でも会社に対する敬意を忘れずに行動しましょう。

退職の意思があるなら早めに報告しよう


退職を伝える時期やタイミングについてご紹介しました。
基本的に、就業規則にある時期に退職を申告すれば、問題に発展することはありません。

初めての退職だと

  • 「退職を伝えたら会社に居場所がなくなるのでは?」
  • 「上司に罵声をあびせられるのでは?」

と不安に感じ、なかなか退職まで行動を移せない方がいます。
退職で一番問題になるのは、申告なしに突然会社に行かなくなることです。

普通の会社であれば、退職を申し出た社員に対して嫌がらせをすることはありません。
突然居なくなるよりも、早めに退職の意思を伝えた方が、あなたにとっても会社にとっても何倍もメリットになります。

さらに民法では「2週間前に申告すれば問題ない」という基準が定められています。
退職は決して悪いことではありません。

タイミングを間違わなければ、円満に退職することも可能です。
退職したいと考えるなら、強い意思を持って早めの行動を心がけましょう!

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はせがわみき(ライター)
はせがわみき

自分らしく働く大切さを伝えたい!複業WEBライター

働く女性を全力で応援するWEBライター。ブライダル業界に5年勤務。20代前半に激務のこなした経験から、女性がもっと輝けるための「働き方」「ライフスタイル」の提案が得意。現在は、対人接客の経験を生かし「行動心理学」「心理カウンセラー」の資格勉強中。サウナとドラマが大好物。サウナ・スパ健康アドバイザーの資格を所持。

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