2021.09.19

退職後の健康保険は自分で手続き?!知っておきたい保険の種類

退職後の健康保険の手続きについて、あなたは知っていますか?勤めているときは会社がやってくれていた手続きや保険料支払い、退職した後はすべて自分でやらなくてはいけません。この記事では収入や家庭の状況に応じた健康保険の加入方法を解説します。

なぜ、退職後に健康保険の手続きが必要なのか?


会社に勤めているときは、会社の健康保険に加入しています。
そのため、怪我や病気で病院に行く際も、医療費の3割を負担するだけで治療を受けることができます。

しかし退職してしまうと、会社の健康保険からは抜けることになります。

そのままどこの健康保険にも加入せずにいると無保険状態になり、怪我や病気で病院に行かなければいけないとき、医療費を全額自己負担しなければいけません。

もし大きな手術や入院が必要になってしまった場合、とても困りますよね。
そうなる前に、しっかりと健康保険の加入手続きを知っておくことが大事です。

退職後の健康保険手続きが必要な人・必要でない人


はじめに、退職後は健康保険加入の手続きを自分でしなければいけないと言いましたが、手続きが必要でない人もいます。

どういう人には手続きが必要で、どういう人には必要ないのでしょうか?
自分がどちらに当てはまるか確認してみましょう。

手続きが必要な人


退職後、健康保険の手続きを行わなければいけないのは以下に挙げた場合のときです。

  • 退職後、次の勤め先がまだ決まっていない場合
  • 退職後、次の勤め先に入社するまで期間が空いている場合

もし、どちらかに当てはまる場合は、退職後しばらくのあいだ無保険状態になってしまうので、自分で健康保険の加入手続きをしなければいけません。

手続きの流れや、手続きに必要なものは後ほど解説します。

手続きが必要ない人


退職後、すぐに次の勤め先が決まっている人は健康保険の手続きをする必要がありません。

会社を退職していったん健康保険から抜けても、すぐに新しい勤め先の健康保険に加入することになるので、手続きはそちらで行います。

今まで使っていた保険証を退職日までに会社へ返却し、入社後は新しい保険証が来るのを待ちましょう。

退職後の健康保険、収入や家庭の状況に応じた3パターンを解説


退職後、健康保険の加入手続きが必要となる人は、収入や家計の状況に合わせて3パターンの加入方法があります。
それぞれ、手続きの方法や負担する健康保険料の金額が違います。

決められた期限内に手続きをしけれなばいけない場合もあるので、前もって手続きの流れや必要なものを知っておくと良いでしょう。
まずは、現在の自分の状況に照らして確認をしてみましょう。

会社の健康保険に加入し続ける「任意継続」


退職後も、引き続き会社の健康保険に加入し続けることができる「任意継続」という制度があります。

勤めていた会社で2ヶ月以上健康保険に加入していた人は、この制度を使って退職後も2年間、会社の健康保険に継続して加入することができます。

ただし、今まで会社と折半で支払っていた健康保険料が全額自己負担となるので、退職直前に支払った保険料の倍額を支払うことになります。(※上限あり)
また、必ず退職日の翌日から20日以内に手続きをしないと加入できません。

手続書類のやり取りなどをしているうち、いつの間にか期限を過ぎてしまい加入できなかったということもあるので、締切には十分注意しましょう。

メリット

負担する健康保険料は、加入している間ずっと定額です。
そのため、保険料負担がいくらになるか、前もって将来の見通しをたてることができます。

また、任意継続なら扶養家族が何人いても保険料は変わりません。
要件を満たせば1人分の保険料で家族全員を扶養できることになります。

国民健康保険の場合は「扶養」という考え方がなく、世帯全員の収入や人数が多ければ保険料もその分高くなります。

扶養家族が多い人は特に任意継続を選んだほうがお得になりやすいでしょう。

デメリット

月々支払う健康保険料は退職時に負担していた額の2倍になります。

勤めていたときは健康保険料の半分を会社が負担してくれていましたが、任意継続となると全額を自分で支払わなければならないからです。

加入している限りは収入の有無に関わらず、定額を毎月支払い続けなければいけません。
この後の項で詳しく解説しますが、任意継続は自分の都合でやめることはできないので注意が必要です。

気をつけること

1.加入手続きは20日以内

退職した日の翌日(資格喪失日)から20日以内に申請をしなければいけません。
よほどの理由がない限り、この期間を過ぎてしまうと受け付けてもらうことができません。

もし扶養に入れたい人がいるなら、その人の収入がわかる書類や続柄を証明する書類も必要です。

2.加入できるのは2年まで

任意継続ができる期間は2年間と決まっています。

それを過ぎると自動で脱退することになり、その後は他の健康保険に加入する手続きをしなければいけません。

3.自分の都合で脱退することができない

加入した後で「やっぱり家族の扶養に入りたい」「国民健康保険に加入したい」等の理由で脱退することができません。

脱退が認められるのは、加入してから2年を超えたとき・新しい勤務先で健康保険に加入したとき・死亡した場合などです。

一度加入したら容易に脱退できないと思っておいたほうがよいでしょう。
加入手続きを進める前に、本当に任意継続をした方が良いかよく考えてみましょう。

手続きに必要なもの

  • 任意継続加入の申請書(20日以内に協会けんぽへ届出)
  • 退職した日が分かる書類(離職票・退職証明書・資格喪失届など)

お住まいの地区の協会けんぽ支部に申請します。

出典:全国健康保険協会|退職後の健康保険について(外部リンク)
出典:全国健康保険協会|任意継続とは(外部リンク) 
出典:全国健康保険協会|任意継続の加入手続きとは(外部リンク)

自営業・フリーランス・無職なら「国民健康保険」


会社を退職した後、他に加入する公的保険のない人は自分で国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険は加入にあたって必要な条件はありません。
どんな人でも加入することができます。

保険料は国民健康保険に加入する世帯の人数や収入に応じて市区町村ごとに異なります。
各自治体のホームページなどで保険料のシミュレーションをすることができるので、チェックしてみましょう。

メリット

保険料は前年の1〜12月の収入を基準に決められますが、もし収入が基準額を下回った場合は、保険料の減免を受けられます。

例えば、一人暮らしで1〜12月の収入が大幅に下がったとき、申請をすれば翌年の保険料は2割〜最大7割を軽減してもらえる場合があります。

デメリット

前年の収入額から保険料が計算されるため、退職金などをもらって一時的に収入が増えた場合は保険料も高くなります。
退職後に収入が増える見込みがない場合は、大きな負担になるでしょう。

また、国民健康保険には「扶養」という考え方がないため、一世帯で国民健康保険に加入する家族が多ければ多いほど、保険料負担は大きくなってしまいます。

気をつけること

1. 加入手続きは14日以内

国民健康保険の対象者になった日から14日以内に市役所等で加入手続きをしなければいけません。

万が一、14日を過ぎてしまった場合でも加入できないということはありませんが、加入日から遡って保険料を徴収されます。

あまり遅れると、一度に支払う保険料が多額になってしまうので、できるだけ早めに手続きをしましょう。

2.会社の健康保険より割高になりがち

会社の社会保険に加入していたときは、会社が保険料の半額を負担してくれていました。

しかし退職後は、すべて自己負担となります。
一概には言えませんが、やはり勤めていた頃より保険料が割高になってしまうケースが多いようです。

3.世帯人数が多いときは「任意継続」を検討する

国民健康保険には「扶養」がなく、世帯で国民健康保険に加入する人が多ければ多いほど、その分保険料負担は増えます。

扶養する家族が多い人は「任意継続」と比べてどちらがお得か一度検討してみると良いでしょう。

4.病気や出産に対する手当金が支給されない

会社の社会保険に入っていたときに支給されていた「手当金」の一部が支給されなくなります。

怪我や病気で仕事を休む期間に支給される「傷病手当金」、そして出産のため仕事を休む期間に支給される「出産手当金」です。

近々出産の予定がある人は要注意です。
(出産費用を保証する「出産育児一時金」は支給されます。)

手続きに必要なもの

  • 印鑑
  • マイナンバー
  • 本人確認書類(免許証など)
  • 今まで加入していた健康保険の資格喪失証明書

※上に挙げた例は一般的なものです。
 詳しくはお住いの自治体のホームページを確認してください。

地方自治体の窓口で手続きしてください。

出典:価格.com保険|国民健康保険(国保)(外部リンク)
出典:PE-BANK|フリーランスが加入できる健康保険の種類:国民健康保険と任意継続どっちがおすすめ?(外部リンク)
出典:ジョブメドレー|【健康保険の基礎知識】国保と健保の違いとは?(外部リンク)

年収130万円以下なら「家族の扶養に入る」


もし将来の見込み年収が130万円未満となる場合は、親や配偶者など親族の「扶養家族」として健康保険に加入することができます。

同居の場合は、扶養される人の年収が扶養する人の年収の2分の1未満でなくてはいけないという条件があります。
また、別居している場合でも、収入より多い仕送りをもらっていれば、扶養に入ることができます。

メリット

一番のメリットは、保険料を支払わなくてよいことです。
毎月の保険料支払いは、収入のない期間が長いほど大きな負担になります。

また、扶養される人が増えても、扶養する人の保険料が増えることはありません。
扶養する人、される人どちらにもお金の負担がないのが嬉しいですね。

デメリット

扶養に入る条件は「年収130万円未満」なので、扶養に入り続けたい場合は年収を130万円以下に抑えなければいけません。
目安としては月収10万円を超えてくると危険なラインと言えます。

アルバイトやパートをしている人で、シフトを増やしたい場合には注意が必要です。
いつの間にか扶養を抜けなければいけないくらいたくさん稼いでいたというケースもあります。

気をつけること

1.「収入」は「今までの収入」でなく「これからの収入」

扶養に入るときの要件として「年収130万円未満」というと、今年の1月から今までの収入額を合算して考える人も多いでしょう。

しかし社会保険の扶養に入るときの「年収」とは、「これから先1年間の収入見込み」を指します。

ですから、今までいくらの収入があっても関係なく、今後の収入見込みがゼロであれば扶養に入ることができます。

2.「収入」には失業給付も入る

「収入」と言うと、一般的には給与や賃金を思い浮かべる人が多いと思います。

しかし社会保険で言うところの「収入」とは給与や賃金のほか、失業手当・傷病手当金・出産手当金・年金を含みます。

そのため、もし失業保険を貰っているなら、日額が3,612円以上の人は扶養に入ることができなくなってしまうので要注意です。

3.年収見込み130万円を超えたときは手続きが必要

収入見込みが130万円を超えてしまったときは、扶養を抜ける手続きをしなくてはいけません。

扶養している人が自分の勤めている会社に申出をし、「扶養削除手続き」をしてもらってください。

手続きに必要なもの

  • マイナンバー
  • 退職した日が分かる書類(離職票・退職証明書など)
  • 収入や仕送りがある場合は、金額が分かる書類

扶養している人の会社に申し出てください。

出典:全国健康保険協会|被扶養者とは?(外部リンク)
出典:日本年金機構|従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き(外部リンク)
出典:MoneyFowardクラウド給与|退職後の健康保険 国民健康保険と任意継続保険を比較(外部リンク)

スムーズな手続きにはマイナンバーが必須


今までの解説でもあった通り、健康保険の手続きにはマイナンバーが欠かせません。
普段あまり使うことがないので、マイナンバーカードや個人番号通知書がどこにあるかわからないという人もいるでしょう。

もしカードや通知書が手元にあるなら、そのコピーを提出するだけでOKです。

どうしても、マイナンバーが見つからない、分からないという場合には、市役所などで「個人番号入りの住民票」を取ることをおすすめします。

本人確認のできるもの(免許証・パスポートなど)があれば、すぐにマイナンバーが印字された住民票を発行してもらえます。

退職後の健康保険手続きは早めに!


退職直前は引き継ぎや送別会でバタバタしがちです。
もし退職に伴う引っ越しがあれば、忙しくて書類や手続きのことをすっかり忘れていたなんてこともあるでしょう。

多少の遅延なら遡って加入を認めてくれることもありますが、場合によっては期限内の申請でないと受け付けてくれないこともあります。

また、退職する会社からもらうべき書類がある場合には、早めに伝えておかないと郵送やメールなどのやりとりで想定以上に時間がかかったり、思わぬトラブルで書類をもらい損ねることも。

手続きの流れや、必要な書類については前もって調べておき、早め早めの準備をしておけば、いざというとき慌てずスムーズに対応ができるでしょう。

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Rolmy編集部(ライター)
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