2021.11.01

退職時の源泉徴収票が必要な理由は?発行されない時はどうする?

退職時に会社から発行される源泉徴収票は、転職時に必要だったり、すぐに就職しない場合も退職した年の確定申告時に必要となったりする重要書類です。退職時の源泉徴収票が大切な理由と、もし会社からもらえなかった時の対処法について解説します。

そもそも源泉徴収票とは?


「源泉徴収票」というと、12月の給与明細と一緒にもらうイメージがあるかもしれませんが、会社を退職する際には、年度途中にも会社から発行されます。

退職時には、すべての退職者に「給与所得の源泉徴収票」が発行されるのに加え、退職金が発生する場合は「退職所得の源泉徴収票」もあわせて発行されます。

そもそも「源泉徴収」とは、毎月の給与などから所得税を天引きすることです。
本来、何らかの所得がある人は確定申告を行って納めるべき所得税の額を確定させ、納税する義務があります。

会社員の人は、会社が給与から所得税を天引きして、本人に代わり納めてくれているため確定申告をせずに済んでいるのです。

ただし、毎月の給与から天引きされる所得税はおおよその金額で算出・天引きされることに加え、扶養家族の情報や生命保険料などの控除の情報は反映されていません。

そのため、12月に年末調整を行うことで正式な所得税額を確定させています。
この年末調整の後に発行されるのが源泉徴収票です。

源泉徴収票では、おもに以下の2つの情報を知ることができます。

  • 1年間に会社から支払われた給与(賞与を含む)の総額
  • 納めた所得税の金額

源泉徴収票に記載された項目に合わせて、順番に説明していきますね。

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1年間に会社から支払われた給与の総額


源泉徴収票の「支払金額」という欄に該当する部分です。

この欄には、1月1日~12月(退職ならば、退職月まで)の給与・賞与支給日までに支払われた給与・残業代(時間外手当)・ボーナス(賞与)ほか、各種手当などを含めた総支給額が記載されます。

ただし、手当の中でも通勤手当は非課税(上限金額を超えた分のみ課税対象)のため、上記には含まれていません。
また、「支払金額」のとなりにある「給与所得控除後の金額(調整控除後)」は、支払金額から年収に応じた給与所得控除額を引いた金額です。

給与所得控除は、いわゆる必要経費にあたる部分で、年収に応じた一定額を年収から差し引いて、納める税金を安くする仕組みです。
さらに「所得控除の額の合計額」という欄には、給与所得控除以外の控除の合計金額が記載されています。

所得控除には様々な種類がありますが、たとえば以下のようなものです。

  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 配偶者(特別)控除
  • 扶養控除   など

自分が納めた所得税の金額


「源泉徴収税額」という欄を見ると、その年に(給与から天引きで)自分が納めた所得税の合計額を知ることができます。

このように源泉徴収票を見ると、所得税計算のもとになった課税所得、所得控除の合計額が記載されているので「なぜこの所得税額になったのか?」を知ることができるのです。

転職後には退職した前職の源泉徴収票が必要に


では、いよいよ本題に入りましょう。
なぜ、転職すると前職の退職時に発行された源泉徴収票が必要になるのか?についてです。

理由は転職先の会社で年末に行う「年末調整」にあります。
どういうことか、具体的に説明します。

転職後の年末調整で必要


これまでにもお話してきたように、会社員の場合は毎月の給与から所得税が天引き(源泉徴収)されて支給されています。

ただし、天引きされている所得税は概算のため、会社は年末調整という作業を行って正しい所得税額を確定させる義務があります。

このとき天引きしずぎた所得税分があれば、還付という形でお金が戻ってきて「臨時収入みたいで嬉しい♡」という経験がある人も多いのではないでしょうか。

年末調整では、1年間(1月~12月)の給与などの総支給額の情報が必要となるため、転職先で年末調整を迎える時には、退職した会社の源泉徴収票(給与所得の源泉徴収票)が必要となるのです。

転職先の会社で、前の会社の源泉徴収票の提出が求められるタイミングは、入社直後の場合が多いでしょう。
職場によっては10月頃になって提出を求められる場合もあるので、紛失しないように保管しておくことが大切です。

転職先へ提出が間に合わないなら確定申告


転職時期が12月など、年末近くになった場合は、新しい会社での年末調整に間に合わないケースあります。

もしくは、退職時に源泉徴収票がもらえなかった・もらったが紛失したといった理由で、転職先への提出が間に合わないケースもあるでしょう。

上記のような場合は、会社で年末調整してもらうことができないため、自分で確定申告する必要があります。
確定申告の時期は、翌年2月16日から3月15日までです。

出典:国税庁|確定申告を忘れたとき(外部リンク)

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源泉徴収票がもらえない場合の対処法


退職する社員に対し、源泉徴収票を発行すること(退職日から1カ月以内に)は、所得税法第226条で定められた義務です。
とはいえ、もし退職時に源泉徴収票がもらえなかったら、どうしたらいいのでしょう?

困ってしまいますよね。
そんな時の対処法も紹介します。

税務署で源泉徴収票交付手続きを行う


退職した会社からなかなか源泉徴収票が発行されない場合は、連絡を入れて状況を確認し、改めて発行を依頼してみましょう。

それでも状況が解決しない場合は、自分が住んでいる市町村の税務署で「源泉徴収票不交付の届出書」を提出して交付手続きを行います。

添付書類として給与明細書があればその写しも提出しましょう。
この手続きを行うと、税務署から会社に源泉徴収票を交付するように指導が入るため、解決するケースがほとんどです。 

出典:国税庁|源泉徴収票不交付の届出手続(外部リンク)

前職の会社が倒産したら給与明細書を保管する


ごく稀に、前の会社の倒産によって退職を余儀なくされたり、退職後に会社が倒産して連絡が取れなくなったりという場合もあるでしょう。
そういった場合も、基本的には上記の「源泉徴収票不交付の届出手続」を行います。

会社が倒産すると、破産管財人が倒産後の事務業務を行うことが一般的です。
源泉徴収票不交付の手続きを行うことで、破産管財人に源泉徴収票の発行を依頼することができます。

ただし、会社によっては倒産時に破産管財人がいないケースもあり、その場合は、給与明細の提出により確定申告が可能となる場合があるので、税務署に相談してみるのがおすすめです。

万が一のときのために、給与明細を日頃から保管しておくことも大切ですね。

退職後も源泉徴収票が必要なケース


人によっては、退職後にすぐ別の会社に就職しない、またはフリーランスとして働くという人もいますよね。
では、そういった場合には「退職時にもらった源泉徴収票は、いらないのでは?」と思うかもしれませんが、ちょっと待って!

そのようなケースでも、源泉徴収票が後々必要となってくることがあるのです。
具体的には、以下のようなケースです。順番に説明しますね。

確定申告の時


退職した年にすぐに転職しない、フリーランスとして独立する(個人事業主になる)場合は、自分で確定申告する必要があります。

この確定申告書を作成する際に、給与所得の内訳などを記載する欄があるため、源泉徴収票が必要です。(以前は源泉徴収票の添付も必要でしたが、2020年分から添付は不要になりました)

医療費控除を行う時


ケガや病気で手術や入院が必要となったり、妊娠・出産したりした年は、医療費も高額になりがちですよね。
もし同一世帯の中で、年間にかかった医療費について、次の条件のいずれかを満たす時は医療費控除を受けることができます。

  • 総所得が200万円未満の場合、年間にかかった医療費が総所得の5%を超えた
  • 年間にかかった医療費が10万円を超えた

たとえば、総所得が155万円の人で、年間にかかった医療費が8万5,000円だったとします。

この場合、かかった医療費(8万5,000円)は総所得の5%(155万×5%=7万7,500円)を超えているため、7万7,500円の医療費控除を受けることができます。

医療費控除は確定申告で行うため、上記同様、申告書作成時に源泉徴収票が必要です。

出典:国税庁|医療費を支払ったとき(医療費控除)(外部リンク)

住宅ローンの審査を受けたい時


住宅購入にともない住宅ローンを利用する上で必須となるのが融資元の金融機関による審査です。
住宅ローン審査には仮審査と本審査があり、収入証明として源泉徴収票などが必要となります。

とくに転職して1年以内に住宅ローンを利用しようとした場合、新しい会社の給与明細の写しや年収見込証明書のほか、金融機関によっては前職の源泉徴収票の提出を求められることがあります。

ただし、住宅ローンの借入条件として「勤続年数(1~3年以上)」を挙げている金融機関は全体の95.6%にのぼることから、転職直後の住宅ローン申込みは審査面で不利に働く可能性も。

そのため、住宅ローンの新規借入を検討するなら転職後、最低でも1年以上経過してからのタイミングがベターかもしれません。

出典:国土交通省|令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(外部リンク)

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退職後も源泉徴収票は大事に保管しましょう


今までもらった源泉徴収票の内容をあまり確認せず、とりあえず何となく保管していたという人も、源泉徴収票が大切な書類だとお分かりいただけたでしょうか?

とくに退職時に発行される源泉徴収票は、転職先で提出を求められたり、自分で確定申告を行ったりする際に必要です。
大事に保管して、必要な時にすぐ取り出せるようにしておくと安心です。

もし退職先からもらえなかった時の対処法もご紹介したので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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kirariraindrop(ライター)
kirariraindrop

2018年よりライター・編集者として活動。元看護師。きれいめファッション・文房具・おいしいパンが好物。読んでくれる人に小さなhappyを届けられるよう修行中。

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