そもそも「縁」とはどんな意味
ところで、この「縁」という言葉にはいったいどのような意味があるのでしょうか?
「縁」は「えん」または「えにし」と読み、もともとは仏教用語ですね。
物事や人との関係性を表す言葉です。
「そのようになる巡り合わせ」や「関係を作るきっかけ」などの意味があります。
男女の間柄や結びつきを表す言葉としても使われますね。
「前世からの縁」など、日本では古来よりさまざまな場面で使われる言葉でした。
スピリチュアルな意味があり、『運命』を表す言葉でもあります。
どうしようもなく不条理な場面で、自分や相手に言い聞かせる時に「これも縁だからしょうがない」というセリフが使われますよね。
そういった意味合いから、不採用など伝えづらい連絡の時に使われるようになったのかもしれません。
「ご縁がありましたら」をビジネスで使う場面とは
「ご縁がありましたら」は、主にビジネスシーンで使われることが多い言葉です。
ビジネスシーンでは口頭やメールで使われます。
言いにくい事を伝える時に多用されるので、どちらかといえばメールで使われる場合が多いでしょう。
ここからは不採用の連絡以外では、どういった場面で使われるのかを詳しく見ていきましょう。
次回の期待を込めた連絡
「ご縁がありましたら」は今回は残念ながら断ってしまうものの、次に機会があったらぜひ一緒に仕事をしたい相手に伝える言葉でもあります。
たとえば今回の提案は不採用だったが、ぜひまた提案して欲しいと思った相手に対して使うのに最適です。
その場合は「今回の提案は不採用とさせていただきましたが、ご縁がありましたら次の機会にも御社の提案を期待しております」のように使います。
「ご縁がありましたら幸いです」や「ご縁がありましたら、ぜひ今後ともよろしくお願いします」なども、次回に続く可能性がある言い方です。
コンペの提案や仕事の誘いを断る時の連絡
競合コンペや、先方からいただいた仕事の誘いを断る場合にも「ご縁がありましたら」の文言を使います。
断りにくい案件や気を使う取引先に対して、丁寧に断りたい時に適している言い方です。
例えば「今回は遠慮させていただきます」だけだと、ちょっと冷たくて失礼だと感じてしまいますよね。
こんな場合は「またのご縁がありましたら、よろしくお願いいたします」と一言添えておくと柔らかい印象になります。
自社よりも商流が上の会社からの誘いを断る時など、返事に気を使う場面で役に立ちます。
相手に不快感を与えないように、メールの文章を締めくくる時に使うと良いでしょう。
相手から断られた場合の返信にも使える
こちらから提案した時に、相手に断られることもありますよね。
相手からお断りの連絡が届いた場合、こちらから再度了承のお返事を差し上げなくてはなりません。
そんな時にも「ご縁がありましたら」の文言が使えるのです。
具体的な使い方としては「今回は私どもの力不足で、御社様のご期待に添うような提案ができずに申し訳ございませんでした。ご縁がございましたら、次回以降もよろしくお願いいたします。」のようになります。
このように、「ご縁がありましたら」の文言は断られた側が使うこともできるのです。
使い方によっては、今回はダメだったけれど次回以降にチャンスをつなげられる可能性が生まれるかもしれません。
志望動機の最後に伝える
こちらは、就職の面接を受ける側が使う場合の言い方です。
面接の最後に「なにか最後に一言ありますか?」などと面接官に聞かれることがあります。
その時に、「御社とご縁がありましたら○○の経験をいかして○○の業務で貢献していきたいです」などの言い方でアピールすることができます。
最後の一言を求められて、言葉に困った時に使うと良いでしょう。
この最後の一言で人間力や、とっさの対応力を見る面接官もいますのでぜひ試してみてください。
面接の最後だけでなく、志望動機を書くエントリーシートなどの最後に同様の言葉を書き添えるのもおすすめです。
具体的でありながら、熱意と誠意が伝わる一言になるでしょう。
「ご縁がありましたら」の正しい使い方や注意点
「ご縁がありましたら」の言葉には、様々な使い方がある事をご紹介しました。
意外な使い方もあったのではないでしょうか?
ところで、この「ご縁がありましたら」は使い方を間違えると大変失礼な印象になってしまいます。
仕事で採用やコンペの担当になった場合に多く使用する言葉なので、失礼にあたらない使い方をマスターしておきましょう。
ここからは「ご縁がありましたら」の正しい使い方や、使う際の注意点について解説していきます。
「残念ながら」を冒頭につけて誤解が起きないようにする
採用担当者として「ご縁がありましたら」を使用する場合の注意点について、説明していきましょう。
「またのご縁がありましたら幸いです」だけでは、不合格だと伝わりにくくなります。
勘違いや誤解がおきないように、「残念ながら、今回は不採用とさせていただきます」と最初に伝えておきましょう。
不採用という言葉を使いにくい場合でも、「今回はご縁がございませんでしたが」の前置きをつけることが大切です。
本音と建前を使い分けたいところですが、あまりにも遠回しな言い方だと伝わりにくくなります。
きちんとメッセージが伝わるように、気をつけて使いましょう。
今後も関係を続けていきたい相手に使う場合
コンペなどで今回の提案は残念ながら不採用となってしまったが、次回も提案して欲しい相手に使う場合にも注意が必要です。
「次回も提案をお願いします」という意味を込める場合ですね。
そんな時には、以下のように伝えるのが良いでしょう。
「残念ながら今回のご提案は不採用とさせていただきますが、ご縁がありましたら次の機会にも御社のご提案を期待しています」
このように伝えれば次回への期待も伝わるうえに、悪い印象も持たれないのではないでしょうか?
ぜひ今回で終わりにせずに今後も提案して欲しい、という気持ちが伝わりますよね。
ただし、次の提案も不採用になってしまった場合には、失礼に当たります。
次回に相手の提案を採用する可能性が本当にあるかを、よく考えてから使うべきです。
今後も関係を続けたい相手に対しては、「ぜひ今後ともよろしくお願いします」というメッセージの方が誤解を生まないでしょう。
次につなげたい時にはこう使おう
今後積極的に取引を行っていきたい相手から提案があったが、今回はスケジュールの都合でどうしても無理という場合があります。
今回はどうしても無理だが次回になんとしてもつなげたい、という場合にも「ご縁がありましたら」が使えるのです。
積極性をアピールしたい時には、「ご縁がありましたら、ぜひ今後ともよろしくお願いします」と伝えましょう。
この言い方なら丁寧なので、今回はやむなく断るとしても好印象を与えられます。
前向きな姿勢を見せられるので、次のチャンスにもつながっていきそうです。
使う相手を間違えない
当たり前ですが、今後も継続して業務が続く相手には使いません。
普段から深い付き合いがある相手にも、もちろん使ってはいけないので注意しましょう。
ビジネスマナーとして常識です。
うっかり使ってしまうと失礼に当たり、取引自体が終了になってしまう恐れもあります。
メールなどで、誤って書いてしまうと命取りになってしまうこともありますよ。
多忙でもメールの文章はきちんと読み返して、送信前の確認を怠らないようにしましょう。
逆に、今回限りでご縁が切れてしまう相手に使用するのも厳禁です。
これも失礼な印象になり、会社の社会的なイメージを大幅にダウンさせてしまう原因になるでしょう。
いくら今回でいったんお付き合いが途絶える相手だとしても、気を付けておきたい部分です。
あなた1人が気をつけるのではなく、部下や会社全体にも周知しておきましょう。