毎日顔を見るのも辛い…人間関係が上手くいかず
大企業でも中小企業でも、なんらかの組織に属して仕事をする以上、必ず付いて回る問題、それが人間関係です。
入社前に、会社の業務内容や社風はある程度調べられたとしても、実際どんな人物が働いているのか、自分が配属される部署に自分と合わない人がいるかどうか、などは全く分かりません。
ほとんどの仕事は、複数の人の業務が絡み合って進んでいくものなので、苦手な人であっても避けて通ることは出来ず、一日に何度かはやり取りが発生し、日々ストレスが積み重なってゆく…ということでしょう。
仕事の悩みや困ったことを相談したいのが同僚や先輩なのに、その相手がストレスの根源となると、相談する相手もおらず、ますます悩んでしまい、結果退職の道を選ぶ、というパターンも多いようです。
仕事辞めたい理由の「建前」ランキングTOP10
1位:キャリアアップしたかった
2位:仕事内容が面白くなかった
3位:労働時間・環境が不満だった
4位:会社の経営方針・経営状況が変化した
5位:給与が低かった
6位:雇用形態に満足できなかった
7位:勤務地が遠かった
8位:仕事に対する責任が物足りなりなかった
9位:上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった
10位:同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった
出典:リクナビNEXT(外部リンク)
「本音」のランキングと比較すると、重複している項目もいくつかあります。
「本音」には見られなかった項目には、7位の「勤務地が遠かった」など、変えられないもの(変えにくいもの)が挙がっていたり、仕事に対する成長意欲が高く、前向きだからこその退職理由と受け取れる項目が複数あります。
上司も「これは仕方ないな」と退職を認めざるを得ないでしょうね。
こちらも、上位の3つを詳しく見ていきましょう。
あくまで前向き「キャリアアップしたかった」
これを言われたら、上司も頷くしか出来ないであろうテッパンの退職理由ですね。
あれが嫌、コレが無理、などの不平不満を理由に並べると、自分の能力不足とも取られてしまい、改善の余地があると思われてしまいます。
しかし、この理由なら、自分の前向きな姿勢を見せつつも、今の職場ではキャリアアップができない、自分にとっては物足りない職場なのですよ、と上司に突きつけることにもなり、認めざるを得ない状況になりやすいのです。
転職活動の際にも、前職の退職理由は必ず聞かれますが「前職で培った経験やスキルを活かし、違う環境でさらなるキャリアアップを図りたいから」などの答えが、面接官に好印象のようです。
思ってたのと違う?!「仕事内容が面白くなかった」
これは「本音」ランキングでも5位なので、建前でも言いやすく、本音の部分も大きいのでしょう。
なんらかのやりがいや面白味があるからこそ、嫌な作業や大変な仕事も我慢が出来るというものですよね。
困難な目標や結果を出しても、なんの面白味も感じられないとしたら、ただただ辛いだけだし「私はここに居る意味があるのか…」と在籍する意義も見失ってしましまいます。
これを退職理由として聞いた上司は「それじゃあ、なんでこの会社に入ってきたんだ?」と怒りの気持ちを抱きつつも、面白味を感じるような仕事や役割を与えていなかった自分自身に対する責めの感情も沸くものです。
もし、他部署への異動などが出来るなら、退職は回避したい、と考えている方であれば、この理由を条件交渉の切り口として使うのもアリかも知れません。
あくまでも、上司が引き留めたくなるような仕事ぶりをしてきた人であることが前提ではありますが…。
長く働いていたいから…労働時間や環境は重要なのです!
本音と建前の両方でTOP3に入っているのが「労働時間・環境への不満」でした。
身体や心に支障をきたすことでもあるので、やはり本音の部分も強いかと思います。
建前として使う場合でも、直接「人」に対する不満ではないので、退職理由として上司に言いやすく、昨今の働き方改革に沿えていない会社に対する提言っぽく伝えることも出来そうです。
「働き方改革」という言葉を出すなら、最低限その中身が何なのかを調べておきましょう。
長時間労働の是正ばかりが目立ちますが、企業側だけの努力や負担で改善出来ない問題も含まれており、結局個人の働き方の意識改革を求められることにも繋がります。
そうしたことも含めて今の環境を変えたい、という説明ができるようにしておくと、突っ込まれても安心でしょう。
本音と建前を使い分け!上手に仕事辞める理由を伝えよう
仕事を辞める理由の「本音」と「建前」のランキングを見てきましたが、実際に会社に退職の意思を伝える際には、これらを正直に話す必要はありません。
会社を辞めるのはあくまで個人の意思が尊重され、辞める権利があるのです。
はっきりと辞めたい意思を伝えましょう。
とは言え、どんな思いがあるにせよ、無駄にトラブルになること無く、スムーズかつ円満に退職した方が後々のためです。
本音と建前を使い分けて、賢く退職するためには、辞めたい理由の「伝え方」がポイントです。
押さえておきたい基本のマナーと、伝え方のポイントを、ランキング上位の辞めたい理由を中心に説明していきますね。
円満退職するために押さえておきたい基本のマナー
物事を円滑に進めるには、何事も基本のルールやマナーを押さえることが必須です。
それらを知らずに成り行きで話を進めようとすると、思わぬ展開になりかねません。
まずは先に、基本のマナーを頭に入れておきましょう。
退職の意思は誰から先に伝える?順番はあるの?
退職の意思を伝える順番は、直属の上司→同僚やその他、が正しいマナーです。
直属の上司とそりが合わず、まさに退職したい理由の張本人がその人だったとしても、直属の上司を飛び越えた上役や、別の部署の上司に伝えるのは社会人としてNGな行動です。
直属の上司に伝えても、退職を認めてくれなかったり、何かトラブルに発展しそうだったら、上役やその他人事関連の社員に相談しましょう。
また、退職をまだ迷っている段階で同僚や先輩に相談したくなることもあるかと思いますが、そこはグッと我慢をするのが賢明です。
絶対に信用できる人のみに、細心の注意を払い、決して漏れる事が無いように釘を刺したとしても、人の口を塞ぐのは容易な事ではありません。
社内の人に話すのは、退職の意思を固めてから、にしましょう。
退職の意思はいつ伝えれば良い?
法律上では「退職希望日の2週間前まで」に退職の意思を伝えれば良いことになっています。
ですが、まずは自分の会社の就業規則を確認するのが鉄則です。
そこに「1ヵ月前までに」などの社内規則が記載されているはずです。
最低限、そのルールを守るのは当然ですが、自分の担当業務の引き継ぎ期間も考慮して、後任や周囲にできるだけ迷惑を掛けない期間を確保した上で、退職の意思を伝えるようにしましょう。
短期間で業務の引き継ぎが出来るよう、業務の内容を一覧にしておく、マニュアルを作っておくなど、退職を決めた日からコツコツ進めておくと良いでしょう。
仕事を辞める理由を上手に伝えるポイント
円満退職をゴールとすると、退職の意思を伝える目の前の上司を納得させる、味方に付ける必要があります。
ですから、まずはお世話になった上司や会社への感謝の気持ちを表すことが重要です。
ベースがネガティブで攻撃的な態度では、話がこじれるばかりです。
出来るだけポジティブに、ここで本音の理由は言わなくても構いません。
建前の理由を上手にアレンジして、上司を納得させましょう。
【キャリアアップしたかった】を伝えるには
「ザ・前向き」な退職理由なので、そのまま伝えても良いのですが、「それなら今の会社でキャリアアップに繋がる仕事をすれば良い」と思われてしまい、他部署への異動や業務転換などの打診をされ、引き留めに合うかもしれません。
今の会社ではこれ以上の成長が望めない、今の環境では実現できない事を前向きに検討した結果の退職、という事を強調して伝えましょう。
すでに転職先が決まっている場合には、そこでの仕事を引き合いに出しても構いません。
次の環境なら希望するスキルが身に付けられる、夢だった業界に携われるなど、出来るだけ具体的に話をすると受け入れられやすくなるでしょう。
【労働時間・環境を変えたい】を伝えるには
「残業や休日出勤が多いのが不満、疲れた…」というのが本音かもしれませんが、会社への不平不満を言葉にしても、ただの愚痴としか聞いてもらえませんし、本人も話しているうちに溜まっていた不満をさらにぶちまけてしまう危険もあります。
気持ちをグッと抑え、ポジティブワードに変換して伝えることがポイントになります。
例えば、
「仕事以外の時間でビジネススクールに通ったり、読書や知識を増やすことに使いたい。環境を変えることで自分の時間を増やし、成長の機会を広げたい」
のように、今よりも時間を確保することでどんなメリットが自分にあるか、という事を伝えると良いでしょう。
【仕事内容がつまらなかった】を伝えるには
この理由も、そのまま伝えてしまうと別部署への異動話にすり替えられてしまう可能性があります。
「今の仕事よりも、もっとやりたい事がある」「今の仕事を経験したことで、あらたに挑戦したいことが出来た」などの前向きな理由に変換して伝えましょう。
後悔先に立たず!辞める前にもう一度考えてみる
さて、仕事を辞める理由の伝え方も頭の中で整理が出来たところで、いま一度本当に辞めてしまって良いのか、ちょっとだけ考えてみて下さい。
特に転職回数が多くなっている方は、慎重に考えてくださいね。
休職制度があるか確認してみる
休職制度は、個人の事情で一時的に仕事をすることが困難になった場合でも、就業規則に定めた一定期間において休職することができる制度です。
法律で必ず定めなくてはならないと決まっているものではないので、休職制度が無い企業もありますが、もしあるようであれば、一旦は休職してみて、その間に冷静になって考え直すこともできます。
自分の会社に制度があるかどうか、まずは確認してみてはいかがでしょうか。
割り切った付き合い方に振り切ってみる
ランチの時間や終業後の飲み会や食事など、本当は一緒に行きたくないのに断れず、ストレスの原因になっている方も多いのではないでしょうか。
もしそうなら、思い切って一度断ってみてください。
数回断っているうちに、誘われなくなるはずです。
どうせ辞めようと思った会社の同僚なら、関係が悪くなったってどうでもいいや、って割り切って考えると、案外簡単に誘いを断れると思います。
無駄な付き合いが無くなって、ストレスフリーになれるかもしれません。
他人は変えられないから、受け取り方を変えてみる
上司や同僚の性格や話し方を変えることは出来ませんが、自分の受け取り方を変えることは出来ます。
「いつも怒鳴っている上司は、そうやって虚勢を張って自分を保っている残念な人だ」
「噂話や陰口ばかり言って同意を求めてくる同僚は、他人をおとしめる事で自分を優位に立たせたい寂しい人だ」
のように考えてみると、嫌な上司や同僚も、気の毒で哀れな存在に思えてきて、怒りを感じなくなるかもしれません。
まとめ
仕事を辞める理由は人それぞれ違いますが、本音と建前を上手く使い分けていることがランキングからも分かりましたね。
また、円満退職するための、ネガティブ理由をポジティブに言い換えて伝えるポイントもお伝え出来たかと思います。
会社を辞めることは、人生の一通過点でしかありません。
会社を辞めてもまだまだ人生は続きます。
だからこそ、後悔の無いように自問自答しながら退職活動を進めてくださいね。