2021.12.11

「住民税が転職後の会社から引かれない」と気づいた時の対処法

転職後、給与明細を見て「住民税が会社から引かれない?」と疑問に思うことがあります。住民税を給与から天引きしてもらう場合、会社に手続きをお願いしておく必要があります。住民税が会社から引かれない理由や、よくある疑問とその答えについて解説します!

給与から天引きされる「特別徴収」が基本


会社で給与をもらっている人の多くは、給与から引かれる「特別徴収」で住民税を納めています。
会社が社員の代わりに市町村に納めることになります。

自分で支払わなくていい分、払っているという負担感を感じずに済みます。
自分で支払う手間が省けるのもメリットの1つです。

個人で収めるのは「普通徴収」


自分で納付するのは「普通徴収」と呼びます。
6月、8月、10月、1月など、年4回に分けて支払います。

住民税納付書を使い、銀行やコンビニなどで支払うことが一般的です。

自分で支払うと、払い忘れないように気をつけたり、多く払っているように思えたりと、何かと負担に感じることも。
普通徴収のメリットとしては、下記の2点が上げられます。

  • 1年間の住民税をまとめて納めると安くなり、節税効果に
  • 勤務先に副業などの収入を知られにくくなる

転職後住民税が天引きされてない原因


退職や転職をしてから、住民税について「どうなっているんだろう?」とあらためて感じることもあるはず。
しかし、転職後に住民税が天引きされないケースがあります。

給与明細を見て「住民税が引かれていない!」と気づくことも。
だからと言って、放置していいというわけではありません。

転職後に住民税が天引きされない原因はいくつかあります。
順番に見ていきましょう!

会社が天引きの手続きをとってない


普通徴収が始まると、次年度も自動的に更新されてしまいます。
特別徴収にするためには待っていても仕方ありません。

会社の人事部など、住民税を担当している部署に相談してみましょう。
このようなことを防ぐために、転職してすぐに「天引きにしたい」とお願いしておくと安心です。

天引きの手続きに時間がかかっている


特別徴収の手続きがスピーディに行われると、転職後でもすぐに徴収されます。

しかし住民税を天引きするための手続きには、2ヶ月ほどかかることも。
その結果、住民税の支払いが途切れてしまうことがあります。

住民税の課税対象ではない


住民税は、前の年の所得に応じて決定されます。
転職する前年の状況によっては、課税対象から外れることも。

  • 1年間収入がなかった
  • 育休明け
  • 傷病休暇明け

上記の場合は住民税がかかりません。

前職を辞めた時期で納付方法が変わる


住民税は、 6月~翌年5月を1つの期間と考えます。
期間の終わりである5月に退職した場合は、1年分の住民税をきれいに払い終えた状態で辞めることになります。

5月以外の月に退職すると、その時期によって納付方法が変わります。
「1月〜4月」「6月〜12月」の2つの時期に分けて見ていきましょう。

1月〜4月に辞めたら多めに引かれることも


会社を退職すると、それ以降に払うはずだった住民税をこれまで通り天引きできなくなります。

1月〜4月に退職した場合は、退職時の給与からまとめて天引きし、納付します。
5月までに払う納付額を計算し、一括して支払うことになります。

例として、3月末に退職する場合は、3〜5月の住民税をまとめて支払います。
給与明細を見て「やたら多く引かれているな……」と感じることもあるかもしれませんね。

しかし、退職した月の給与・退職金が、まとめて払う住民税より少ない場合は、普通徴収に変更できます。

6月〜12月に辞めたら「普通徴収」で収める


住民税を支払う期間を6月~翌年5月と考えると、6月〜12月は前半に当たります。

そのため5月までの住民税を退職時に一気に支払うとなると、期間は長めに。
金額も大きくなってしまいます。

辞めた後に普通徴収に切り替わるため「納税通知書」が送付されます。
普通徴収になると、6月、8月、10月、1月の4回に分けて、自ら納めることとなります。

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住民税に関するQ&A


退職や転職の際に、初めて「こんな時どうすればいいのだろう」と感じることもあるはずです。
よくある質問とその答えをまとめてみました!

住民税の金額が高い?


住民税は前年の所得で決まります。
もし転職して現在の収入が下がったとしても、支払う金額は変わりません。

また、今まで特別徴収だったものを普通徴収にすると、自分で払う分「金額が高いな……」と感じることもあるかもしれません。

特に、普通徴収では1年間の住民税を4回に分けて支払います。
特別徴収で支払うのは毎月と考えると、より高く感じるのも頷けますね。

転職などにより収入が大幅に下がってしまった場合でも、免除されるなどの措置は基本的にはありません。

転職や無職期間があるなどの理由で収入が大幅に下がる予定がある時は、翌年の住民税が払えるかどうかという視点を持つことが大切です。

転職したら住民税の二重払いになる?


「二重払いが発生して、損をすることになるのでは」と心配するケースがあります。

特に心配なのが、前職の退職時にまとめて支払った時。
新しい職場でも住民税を支払うため、多く払っているような気になることも。

しかし住民税に関わる情報は市町村で保管され、転職時も新たな会社にその情報が引き継がれます。
二重に住民税が納めることはないので、安心しましょう。

また、住民税には「その年の1月1日に住民票があった市区町村に納める」というルールがあります。
転職時に引っ越ししたとしても、そのルールに基づいて住民税が支払われるため安心ですね!

「決定通知書」で前職や転職先がばれる?


さまざまな手続きが必要になる転職。
住民税に関するやりとりをするうち「前職や転職先がばれるのでは?」と心配になる人もいるでしょう。

特に気になるのが、前職の会社から渡される「住民税の決定通知書」。
以前の勤務先の給与など具体的な金額が書かれているため、前職の情報が転職先にも伝わっているのではと感じることも。

しかし、決定通知書には給与や社会保険料が書かれているだけ。
社名までばれることはないので、安心しましょう。

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「住民税が会社から引かれない」時は


特別徴収にする手続きに時間がかかっていたり、会社が手続きをしてくれなかったりしても、多くの場合、住民税を支払わなくていいわけではありません。
自分の住民税が適切に支払われているか、転職時には気にかけておきましょう。

普通徴収として自分で払う場合は、納付書を使って銀行やコンビニで払うことになります。
納付時期が年4回になる分、高額に感じたり、払い忘れに気をつけなくてはいけなかったりと、負担に感じることも。

しかし会社に内緒で副業を行なっている人は、会社にばれないようあえて普通徴収を選ぶ人もいます。
特別徴収と普通徴収、それぞれのメリットを考えて選択するといいでしょう。

転職時の住民税の手続きは面倒に感じることも多くあります。
しかし、自分が払っているお金に対して自覚的になるチャンス!

お金に対しての理解を深めるきっかけになると考え、前向きに対処してみてはいかがでしょうか。

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a_fuji(ライター)
a_fuji

Webライター、経営者サポート、社会福祉士のパラレルワーカー。穏やかに楽しく生きていく方法を模索中です。

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