妊娠中・出産ってどのくらいのお金がかかるのか?
友人や同僚などの妊娠・出産報告も増えてくる20代後半から30代。
自分もそろそろ…なんて思いつつもも、
- 「妊娠・出産って結構お金がかかりそうだな。」
- 「仕事はどうしよう?」
など、漠然としたイメージや不安を抱えた女子も多いのではないでしょうか。
妊娠・出産にかかるお金やもらえるお金を正しく理解すれば、そんな不安も少しは軽くなるかもしれません。
まずは、妊娠~出産までお金について見ていきましょう。
妊婦健診費用
妊婦健診は、ママの健康状態やおなかの赤ちゃんの発育・健康状態を知るために大切な検査です。
時期によって以下のように健診の頻度が決まっており、おもに体重や腹囲測定、内診、尿・血液検査、エコー検査などを行います。
出産までに少なくても14回程度の健診が必要です。
- 妊娠初期~23週まで:4週に1回
- 24週~35週:2週に1回
- 36週~出産まで:1週に1回
妊娠は病気ではないため、健康保険が適用されません。
病院やママの状態によっても差はありますが、1回の妊婦健診につき5千~1万円ほどかかります。
そう考えると妊婦健診だけでも十数万円のお金がかかる計算になりますが、安心してください。
妊婦健診は各自治体が一部の費用(10万円前後)を負担してくれる制度が整っており、実際の自己負担額はトータルで5万円前後と考えておくとよいでしょう。
実際は母子手帳交付時に妊婦健診の受診券をもらい、その受診券を持って産婦人科で健診を受けます。
受診券には各回で必要な検査項目が記載されていたり、自治体によっては補助額が記載されていたりとさまざまですが、妊婦はその差額分のみを支払うイメージです。
入院・分娩費用
どこで、どう産むか?によって、出産時にかかる費用は変わってきます。
公益社団法人国民健康保険中央会が2017年に調査した結果によると、自然分娩の場合にかかる出産費用の平均は50万5,759円。
無痛/和痛分娩を希望する場合は、上記費用に10~20万円ほどプラスでかかります。
帝王切開の場合はさらに費用は高額となりますが、一部に健康保険が適用されます。
マタニティ用品費用
お腹が大きくなってくると、マタニティ服や下着が必要です。
洋服はマタニティ用でなくても、オーバーサイズの服やウエストがゴムの服などでうまく代用できる場合もありますが、
大きくなるお腹やバストを保護するためのショーツや腹帯、ブラは専用のものを準備した方がよいでしょう。
そのほか妊娠線予防クリームやカフェインレスの飲み物などもこちらの費用に含まれます。
個人差はありますが、費用の相場は3~5万円ほどです。
ベビー用品費用
ベビー服や肌着、オムツ、授乳グッズ、沐浴グッズ、チャイルドシート、抱っこひも、ベビーベッド・布団など赤ちゃんを迎えるために揃えるものはたくさんあります。
赤ちゃんが産まれる季節によっても準備するもの、必要な枚数なども異なりますが、一般的にベビー用品費用だけで10万円以上はかかります。
お下がりやリサイクル用品、レンタルなどを活用して上手に節約するのもおすすめです。
里帰り出産費用(交通費・帰省中の生活費)
初産の場合やパートナーの仕事が忙しく、産後に十分なサポートを期待することが難しい場合はとくに里帰り出産を考える人も多いのではないでしょうか。
航空機や鉄道などの公共交通機関をつかって帰省の場合は、往復で数万円の交通費がかかります。
また、里帰り中の食費・生活費として1カ月に2~3万円ほどを親へ渡すケースが多いようです。
こちらは必須というわけではないですが、礼儀や感謝の気持ちとして渡せるとよいですね。
産休とは?
産休とは、「産前産後休暇」のこと。労働基準法(第65条)上で次のように定められています。
①使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
②使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
出典:労働基準法 (外部リンク)
つまり、産前6週間(42日間)は妊婦が希望する場合に権利として取得できる休暇なのに対し、産後8週間(56日間)は母体保護のため取得が義務づけられている休暇です。
ただし、ママ自身が希望し、かつ医師が問題ないと認めた場合に限り、産後6週間以降(43日目~)は復帰することも可能です。
このことから保育園も、最短で生後57日以降から入園可能となっている園が大半を占めます。
産休中に給与支給がある企業は少数
雇用者側が従業員の産休取得を拒むこと、休暇の取得を理由に不利益な扱いをすることは法律で禁じられています。
一方で、産休中の従業員に対し雇用者側が給与を支払う義務はとくにありません。
そのため産休中に給与を支給してくれる企業は、ごくわずか。(企業によっては、給与の一部を支給してくれる場合もあり)
産休中の給与や手当の扱いについては、それぞれの就業規則で定められているはずなので、確認しておくとよいでしょう。
産休中の収入減少を保障する「出産手当金」
とはいえ、およそ3カ月以上にもおよぶ産休期間中、それまであった収入がゼロになってしまうのは厳しいですよね。
産休中に働くことができない分の収入を保障するのが、健康保険から支給される「出産手当金」です。
受給資格・支給額は次の通り。
- 受給資格:自身が健康保険(国民健康保険以外)の被保険者(=本人が保険料を払い、加入している)であり、産休を取得した者。
かつ、産休中に給与の支払いがないこと(給与発生しても給与<出産手当金の場合は、その差額を手当金として受給することが可能)
- 支給額(日額):支給開始日以前に継続した12カ月の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日の3分の2。給与の支払いがある場合は、その差額
たとえば、各月の標準報酬月額の平均が30万円の女性で、産前6週の8月20日から産前休暇を取得。
9月30日に出産(予定日どおりに出産)し、産後8週の産後休暇を取得(11月25日まで)のケースで考えてみましょう。
この場合、
- 支給額(日額)=300,000円÷30日×2/3=6,667円
- 支給対象期間:2021年8月20日~11月25日(42日+56日=98日間)
- 総支給額=6,667円×98日間=653,366円
となります。
月額給与の満額までとは行かないものの、手当が支給されるのは非常に心強いですよね。
ただし、出産手当金は産後にまとめて申請するのが一般的なため、手元にお金が入ってくるのは出産後しばらく経ってからという点に注意が必要です。
上記ケースであれば、11月26日以降に申請し、手当金が振り込まれるのは翌年の1~2月頃となります。
そのため、産休中の生活費などとして、ある程度まとまったお金を確保しておくことは必要です。
出産手当金は、産休を取得する女性自身が雇用形態に関わらず被保険者であること、国民健康保険以外の健康保険に加入していることがポイントです。
パートナーが加入する健康保険の被扶養者(扶養に入っている人)、フリーランス・自営業で国民健康保険の被保険者の場合は、出産手当金の受給対象とはならないので注意しましょう。