お正月に着物を着るのがおすすめの理由
お正月には、新調した着物を着用して新しい年を迎える「着衣始め」という風習があります。
着衣始めは、普段から着物を着ていた時代に家族で行っていた文化ですが、近年では普段から着物を着用する方は非常に少ないです。
そのため、着衣始めの風習を知らないという方もいるでしょう。
着衣始めは、着物の足袋や帯も新しいものにします。
新年のおめでたい日に、新調した着物を着れば、新たな気持ちで1年を過ごすことにつながるでしょう。
お正月におすすめの着物の柄
新しい年を迎えたお正月には、着物の柄に縁起物を選ぶのがおすすめです。
自分好みの柄を選ぶことが大切ですが、縁起が良いものをモチーフにした柄を選ぶことで、着物姿を見る方も晴れやかな気持ちになるでしょう。
そこで、着物の柄のなかでも、日本で親しまれている縁起が良いモチーフや柄、縁起物といわれる理由を6つ紹介します。
松竹梅
昔から日本のおめでたいことの象徴で使われていた松竹梅です。
お正月も自宅の前に門松を飾ったり、結婚祝いの結納品で使用されたりすることが多いでしょう。
松竹梅は中国の「歳寒三友(さいかんさんゆう)」のことわざが由来です。
寒い時期に縁を切ることがない(枯れることがない)松と竹、冬にも花が咲く梅を組み合わせて、松竹梅といわれるようになりました。
松竹梅は、お祝いの席やおめでたい席で使用される柄です。
おめでたいお正月の時期に最適な柄のひとつだといえるでしょう。
亀と鶴
亀と鶴の着物の柄は、「長寿」の意味が込められていることが特徴です。
亀や鶴は長寿の動物として有名であり、亀は小さいものでも30年、長生きする亀は100年生きることもあります。
鶴は30年と、どちらも動物のなかでは長生きする生き物です。
鶴や亀の柄は、晴れ着でも使用されています。
熨斗
熨斗(のし)は、熨斗鮑が由来の柄であり、慶事の進物に添えられた熨斗をより細長い帯状に文様化した柄です。
熨斗鮑は神様に供える物であり、昔から縁起物といわれていました。
熨斗鮑が由来の熨斗柄の着物は、おめでたい日に着用されています。
牡丹
牡丹は花のひとつであり、着物の柄として使用する場合は大きな牡丹の花が描かれていることが特徴です。
牡丹は大きな花が咲くため、百花の花と表現されることもあります。
幸せや高貴をイメージする花として、裕福な家庭で親しまれている花でした。
昔は裕福な方しか着用できなかった柄でしたが、現在では身分を問わず着用できる高級感がある柄として人気です。
牡丹の柄は、春に着る春ボタン、お正月に着る冬ボタンに分けられます。
お正月は、冬牡丹の柄の着物を着用しましょう。
鳳凰
鳳凰は、昔から中国で伝えられている空想上の鳥のことです。
幸せで平和な世界に現れる鳥といわれており、カラフルで美しい色合いが魅力だといえます。
鳳凰の柄の着物はお正月をはじめ、おめでたい時に着用することが多いです。
宝尽くし
宝尽くしは、様々な宝物を描いた柄です。
小づちや宝島などが描かれており、福を呼ぶ縁起物の柄として晴れ着で使用されます。
お正月におすすめの着物の種類
着物にはいくつかの種類があり、カジュアルな種類やフォーマルな印象のもの、自宅で着るのに適しているものなどに分かれます。
お正月にどこで過ごすのか、誰と過ごすのかによって、着物の種類を選びましょう。
主な種類と、種類ごとの印象、着用するのに適した場面などを紹介します。
華やかでも気軽に着れる小紋
初詣は礼服を着るのではなく、紬や小紋などの気軽に着用できる着物を選ぶのもおすすめです。
特に新年は、華やかな印象の小紋が良いでしょう。
小紋は着物のなかでもカジュアルな種類で、かっちりとした印象ではありません。
しかし、華やかであり、お正月の初詣や新年会などに最適でしょう。
小紋と比べてフォーマルな江戸小紋
江戸小紋は、帯を工夫するだけでフォーマル、カジュアルどちらにも変えられることが魅力です。
目上の方への挨拶や、親戚の家に挨拶に行く際にフォーマルな服装にしたいものの、訪問着ではないものを使いたいというときに最適でしょう。
自宅で着物を着るならウール
初詣や挨拶回りでは着用しないものの、お正月に自宅で着物を着たいときにおすすめなのはウールのものです。
保温効果が高くメンテナンスしやすいため、便利に使用できるでしょう。
素材の印象から、「ウールはボリュームがあるのでは」というイメージを持つ方も多いですが、着物はモコモコとした印象にはなりません。
また、帯を半幅帯にするのがおすすめです。
浴衣の帯でもしっかりとした作りの物を使えば、夏の時期以外でも使用できます。
ウールのカジュアルな印象の着物で過ごしてみるのも良いでしょう。
お正月に最適な着物の色の選び方
お正月に着用する着物は、カジュアルな小紋やフォーマルな江戸小紋がおすすめです。
着物の種類や、どのような色のものを選ぶのが良いのか、着物の選び方を紹介します。
白や赤の着物
日本では、紅白の色の組み合わせはお正月をはじめおめでたい場で使用されてきました。
そのため、着物の色としても白や赤を使ったものがお勧めです。
赤は鮮やかで目を引く色でもあり、抵抗がある方もいるでしょう。
しかし、日頃から赤い模様や赤色の服装のコーディネートをしていなかったとしても、特別な日のお正月なら着用しやすいです。
特別なお正月の時期には、白と赤の目立つ色の組み合わせの着物を選んでみましょう。
また、紅白の色は着物を着る人だけではなく、見る人を明るい気分にする効果も期待できるといわれています。
緑の着物
お正月の時期は、自宅の前に門松を飾る方も多いでしょう。
寒い季節にも緑色の葉っぱを維持できる松は、縁起物のひとつです。
緑色は着物を着用している人だけではなく、見た人にも活気を与えられる色です。
そのため、お正月には松をイメージした緑色の着物やアイテムを身につけましょう。
門松のしめ縄でも、松が使われています。
緑色の着物は好みではないという場合には、ワンポイントで緑色のアイテムを入れてみましょう。
帯留めでワンポイント
着物ではなく、帯留めや小物類などのアイテムの選び方によって、お正月の雰囲気を演出することが可能です。
例えば、小紋でも帯留めに干支をモチーフにしたものを使うだけで、お正月らしいコーディネートになるでしょう。
着物だけではなく、小物や帯を工夫することで雰囲気を変えられます。
着物だけではなく、小物も意識してコーディネートをしましょう。