会社を辞める時に揉めやすい内容
まずは会社を辞める時に、揉めやすいポイントを紹介します。
あらかじめ心構えをしておくとともに、心配な項目があれば先に手を打っておくことが肝心です。
給料や社会保険料の計算
・締め日以外で辞めた場合の給与計算方法
・残業代の精算月
・社会保険料の最終控除月
・住民税の徴収方法変更のタイミング
など、給与や社会保険料に関するトラブルにつながる場合があります。
会社は法律に則って給与計算をしてくれますが、計算のタイミングや方法がややこしく、「なぜこのタイミングでこの金額が?」と疑問に思うこともあるでしょう。
お金に関することは最も揉めやすく、尾を引きやすいため要注意です。
有給休暇や福利厚生の処理
・最後の有給休暇がいつ付与されるか
・余った有給休暇はどう処理されるか
・福利厚生や従業員サービスはいつから使えなくなるか
など、福利厚生に関する項目も要チェックです。
とくに、余った有給休暇の買い取りは基本的に違法であるため、退職日までに使い切るのが理想です。
有給休暇が何日余っているのか、いつからいつまで使えるのかなど、細かく計算しておけば損なく利用できるでしょう。
退職日の決定
労働基準法において、「退職日は従業員側が自由に設定できる」とされています。
有期雇用の場合でも、退職の申し入れから2週間後には辞めることができます。
しかし繁忙期の真っ最中や、始まったばかりのプロジェクトを抱えた状態で辞めなければならない場合、会社への配慮が欠かせません。
業務に与える影響が大きいとみなされた場合は、損害賠償のリスクが生じる恐れもありますので、注意しておきましょう。
このようなトラブルを避けるためには、一方的に都合を押し付けすぎることなく、あくまでも「相談」という形を取ることが重要です。
会社側の都合も聞きながら決定する姿勢を見せていきましょう。
上司や同僚との関係性悪化
辞める事実が広まることで、上司や同僚との関係性が悪化してしまうこともあるでしょう。辞めることが公になった日から急に態度が冷たくなり、肩身の狭い思いをすることも。
しかし今の時代、働き方が多様化していることに伴い、転職する人が多くなっています。
定年まで同じ企業で勤め上げる人の方が珍しく、転職によるキャリアアップをする人や、会社を辞めてから独立・開業する人も少なくありません。
会社メンバーの顔を立てて義理をはたしていくことも大切ですが、必要以上に気にしすぎることなく粛々と退職手続きをしていきましょう。
会社を辞める時のトラブルを回避するポイント
次に、会社を辞める時に起こりやすい、トラブルの回避方法を紹介します。
最後に揉めた状態で辞めてしまうのは、自分にとっても会社にとっても大きなストレスとなるため、1つずつチェックしておきましょう。
就業規則や給与規定を確認しておく
あらかじめ、「就業規則」や「給与規定」を確認しておくことで、トラブルを回避できる場合があります。
・退職希望日の何ヶ月前に申し出ておく必要があるか
・給与計算の締め日がいつか
・賞与査定や人事査定のタイミングがいつか
・社会保険や福利厚生の扱いがどうなるか
など、辞める時のトラブルになりやすい項目を、チェックしておきましょう。
退職に関してわからない点があれば、事前にまとめておくことで、上司への質問もしやすくなります。
退職相談は直属の上司に行う
明確な社内規定がない場合、退職相談は直属の上司からはじめることをオススメします。
自分の環境や業務内容を正確に知ってくれている上司であれば、状況を整理しながら話しやすくなるでしょう。
万が一上司を飛ばして、先に本社や人事部に相談してしまった場合、上司の顔が立たなくなる恐れがあります。また、上司が「部下から大切な相談をしてもらえない人」というレッテルを貼られてしまう可能性もあるでしょう。
パワハラやセクハラなど、コンプライアンス関連の退職でない限り、上司の顔を立てておくのがオススメです。
期間に余裕をもって退職相談をする
退職の意志が固まり次第、会社には早めに相談することをオススメします。
新しい人材を雇ったり引継ぎしたりする期間をしっかり取れるよう、遅くとも3ヶ月前には申し出ます。残っている有給をまとめて消化したい場合は、さらに前倒して相談するのがよいでしょう。
ただし、やむを得ず希望退職日が近くなってしまうこともあります。
家族の急な単身赴任、体調の急変、介護・育児上の問題が生じた場合、可能な限り速やかに報告することが大切です。
まずは丁重に相談し、指示を仰ぐ姿勢を見せていきましょう。
引継ぎは全力かつ丁寧に行う
引継ぎは最後の仕事と捉え、漏れのないよう全力で行いましょう。
一方的になりすぎないよう、相手の理解力や業務のバランスを見ながら、なるべく負担がかからないよう丁寧に引き継ぐのもポイントです。
万が一、誰に引き継げばいいか指示がない場合や、期間内に十分な引継ぎ説明ができない場合は、誰でも分かるようマニュアルを作っておくのも効果的です。
辞めた後も頻繁に質問されてしまうストレスを減らす効果もあるため、早めに取り組んでおくことをオススメします。
感謝の姿勢を伝える
トラブルを回避するためには、会社や上司・同僚に対する感謝の姿勢を示していくことも重要です。
会社への不信感や従業員トラブルが原因で辞める場合でも、自分を雇い、育ててくれた会社であることに変わりはありません。
勤続年数や関わりの大小に捉われず、ご縁があったことを前向きに捉えていきましょう。
例え誰かが嫌な態度を取ってきたとしても、真正面から向き合う必要はありません。
「辞めるまでの辛抱」と考え、割り切っていくことも肝心です。
辞める理由は正直に伝えるべき?
よくある疑問のひとつに、「辞める理由」の伝え方があります。
本音を包み隠さず話すべきか、多少濁して話すべきか、方策を探っていきましょう。
基本的には正直に伝えるのが理想
理由を話すことによほど大きな抵抗がなければ、理由は正直に伝えます。
これまで多くの部下を担当してきたマネジメント層や、新卒・中途問わず採用面接や退職面談をしてきた人事部は、話されている内容が本音かどうか、なんとなく分かってしまうものです。
率直なコミュニケーションをする方が心証もよくなりやすく、トラブルなく辞めやすくなるでしょう。また、辞める理由を正直に伝えてくれることは、会社にとってありがたいことでもあります。
今後の人材教育や採用の方針を見なおすきっかけにもなるため、ムリない範囲で伝えていきましょう。
ネガティブなことは伝えなくてもOK
正直に理由を話すのが理想ではありますが、ネガティブなことは伝えすぎないよう方がよいでしょう。
特に、愚痴や文句につながるような内容はNGです。
・〇〇さんから嫌がらせを受けているのが耐えられない
・営業数字のプレッシャーが強いためストレスに感じている
・通勤時間が長く、体が休まらない状態に疲れてしまった
など、ネガティブなことが本音の理由であっても柔らかく伝えるのみに留め、ここぞとばかりに不満を口にしすぎないよう注意しましょう。
場合によっては、「ごく限られた方とどうしても折り合いが合わなくて…」「もう少し近場で仕事をはじめられることになりまして…」と濁しても問題ありません。
トラブルのない円満な退職を
会社を辞める時は、なるべくトラブルなく穏便に辞められるよう、最大限の配慮をしましょう。
相談のタイミングや引継ぎの内容にはとくに気を配り、自分も会社もストレスなく手続きを終えるのが理想です。退職を申し入れる側は、自分の要望をはっきりと伝えつつ、基本的には丁重に「相談する」というスタンスでいれば問題ありません。
新しいキャリアに向かって一歩前進するために、早い段階から少しずつ考えていきましょう!