「膣トレ」って一体なに?
近年は女性ファッション・美容誌でも取り上げられることの多くなった「膣トレ」ですが、初めてその言葉を耳にする人も多いかもしれません。
まずは「膣トレってなに?」という基本からわかりやすく説明していきますね。
膣・肛門まわりを支える骨盤底筋群のトレーニング
膣トレは、別名「骨盤底筋トレーニング」ともいわれ、尿漏れなどに悩む妊娠中・産後の女性や中高年女性を対象に20年以上前から医療現場で指導されてきた方法です。
実際、婦人科病棟で5年ほど勤務経験のある筆者も、ドクターの指示のもと尿漏れや子宮が下がってくる感覚に悩む患者さんへ骨盤底筋トレーニングを指導していたことがあります。
その当時は「膣トレ」という言葉はまだ聞いたことがなく、後に膣トレが骨盤底筋トレーニングとほぼ同じものだと知って驚きでした。
インナーマッスルである骨盤底筋を鍛える膣トレは、女性らしい体を保つ上でもメリットがいっぱい!
膣トレ先進国ともいわれるフランスでは、健康保険で専門家のレクチャーを受けられるほどメジャーで、効果を知られた存在なんだそうです。
なぜ骨盤底筋を鍛える必要があるの?
女性の体は、骨盤というお椀のような骨の集まりの中に膀胱・子宮・直腸がすっぽり収まっています。
「お椀のような」といっても骨盤は底が開いており、この底の部分から各臓器が下に落ちないようにハンモックのように支えているのが骨盤底筋群(複数の筋肉からなるため「群」とついている)です。
縁の下の力持ち的な骨盤底筋は、体幹を安定させるためにギュッと締めることと同時に、尿や便、経血を出すためにゆるませる働きの両方を担っています。
ところが加齢による筋力低下や、妊娠出産や肥満で筋肉に負担やダメージが加わると、骨盤底筋は伸びきったゴムのような状態に…。
骨盤底筋がしなやかに伸び縮みできなくなると、尿漏れや臓器の下垂(重みに耐えきれず下に下がること)などさまざまな影響が出てくるため、骨盤底筋を鍛えることは大切なのです。
それに骨盤底筋力がUPすると子宮や卵巣の環境が整い、女性ホルモンの分泌を促進する効果もあるようです。
一つでも当てはまるなら膣トレがおすすめ
ここまでの話をきいて、老化や妊娠・出産など…「私まだ30歳前だし、妊娠もしたことないから大丈夫でしょ!」って思った女子はいませんか?
エストロゲンは20代後半をピークに減少し始めることに加え、ストレスなどによるホルモンバランスの乱れで20代30代でも以下のような症状に悩む人女子は増えています。
- 大笑いしたとき、くしゃみしたときなどに軽い尿漏れがある
- お風呂から上がったあとに、膣からお湯が漏れる
- 運動時などに膣から空気が漏れる
- 膣がゆるい感じ、締まりが悪い感じがある
もし一つでも思い当たるものがあれば、骨盤底筋ケアとして膣トレはおすすめです!
また今はとくに自覚症状はなくても、早いうちからトレーニングすれば、その恩恵はきっと自分の体に返ってくるはず♡
アラサー女子にも嬉しいがいっぱい!膣トレの効果
では、膣トレをすると実際にどんな効果があるのでしょうか。
具体的には、以下のような効果があると言われていますよ。
- 尿漏れの改善
- 膣のゆるみによるお湯漏れ・空気漏れの改善
- 膣の締まりがUPし、性感度や満足感の向上
- 下腹部のシェイプアップやヒップアップ
- 生理痛の軽減
- むくみ・冷えの改善
- 便秘の解消
こうやって見ると、今困っている症状を改善できるだけでなく、美容的なメリットもいっぱい!
膣を締めるだけでキレイになれるなんて、やらない手はありませんね♡
所用時間は5分以下!毎日やりたい膣トレの方法
膣トレの基本は、膣を「締める&ゆるめる」のシンプルな動作です。
やり方やコツさえ覚えてしまえば、通勤時やデスクワーク時などの「ながらトレーニング」にもぴったり。
立位や座位、横になった姿勢での方法を紹介しますので、自分が実践しやすい方法を見つけてみてくださいね。
トレーニング前に骨盤底筋の位置を確認
骨盤底筋群というのは、体の奥にある筋肉なので外側からは直接触れることができません。
なので、せっかく膣トレしても「これでいいの?ちゃんと骨盤底筋を動かせている?」と感じる人はとても多いと感じます。
効果的にトレーニングするためにも、骨盤底筋の位置を理解して意識を向けることは重要!
自分で位置や動きを確認する方法を紹介します。
骨盤底筋の位置・動きを知る方法①
- 仰向けの姿勢になり、足を肩幅くらいに開き、両膝を軽く立てる
- 左手を下腹部に当てる。右手(人差し指と中指で)を、膣と肛門を結ぶ線の中間(会陰体:えいんたい)あたりに当てる
- 息を吐くタイミングで膣を締める
- このとき、膣と肛門の中間に当てた指から皮膚が離れていくような感覚があれば、骨盤底筋を正しく収縮させられている証拠
骨盤底筋の位置・動きを知る方法②
- 足を肩幅くらいに開き、真っすぐに立つ
- 左手を下腹部に当てる。右手(人差し指と中指で)は仙骨(お尻の割れ目のはじまり部分付近にある少しとがった骨)に当てる
- 息を吐くタイミングで膣を締める
- このとき、仙骨に当てた指が内側に巻き込まれるような感覚があれば、骨盤底筋を正しく収縮させられている証拠
上記の①と②の方法では、左手を当てている下腹部が硬くなるような感覚があれば、それは骨盤底筋ではなく、腹筋が収縮している(動かし方が正しくない)という目安になります。
このほかにも、「そもそも膣を締める感覚がよくわからない…」という人には直接指を入れて確認してみる方法も。
清潔にした人差し指と中指を膣に直接入れ(入れるのは第2関節くらいまで)、静かに指を開いた状態で膣を締めます。
このとき、開いた膣の壁に押されて閉じたり、抵抗を感じるようであれば、膣を締めることができているサインです。
移動中もOK!立位での膣トレ
- 両方の踵をくっつけ、90度くらいに開いて立つ
- 息を吐くタイミングで膣と肛門を締める(内もも同士を引きつけるイメージで)
- さらに上の方に引き上げるように5秒間、締めた状態をキープ
- 息を吸いながら5秒ほどかけて、ゆっくりゆるめていく
- 1~4を10回で1セットとし、1~2セットずつ1日に2~3回に分け行う
※慣れてきたら、膣を締める時間を10~15秒くらいまで長くしてみましょう。
見た目は運動しているようには見えないため、電車の中などの移動中にもおすすめ。
デスクワーク中もこっそり座位での膣トレ
以下は姿勢が変わるだけで、膣トレの基本動作は上記と同じ。
姿勢のポイントだけ説明していきますね。
姿勢のポイント
背筋をのばして椅子に座る。
背もたれにはもたれかからず、両足底をぴったり床につけた状態を保ちながら、上記2~5のステップを行う
デスクワークや食後に椅子に座っているときなどにやってみて。
入浴中やTVタイムにも。座位での膣トレ
こちらは、座位でも床に座った状態で行う方法。
こちらは、湯舟に入っているときやTVを見ながらのくつろぎタイムにも膣トレができますよ。
姿勢のポイント
壁に軽くもたれかかるように、両膝を立てた状態で床に座る。
両膝は肩幅くらいに開き、足の力を抜いてリラックスした状態で2~5のステップを行う
寝る前にベッドで♡仰向け姿勢での膣トレ
最後は、仰向けの方法を紹介します。
こちらは寝る前にベッドや布団の上で行うと、心地よい疲れでぐっすり眠れる効果も。
姿勢のポイント
仰向けに寝て、両膝を軽く立てる。
両膝は肩幅くらいに開き、リラックスした状態で2~5のステップを実施
いずれの方法も手の位置に決まりはありませんが、最初の内は会陰体や仙骨、下腹部に手を当てて確認しながら行うとgoodです。
効果的にトレーニングできる膣トレグッズも
とはいえ、腹筋やお尻の筋肉に力を入れることなく膣や肛門を締める感覚は、なかなかわかりにくいものです。
それに自分ではできていると思っても、違う筋肉を中心に動かしてしまっているケースは珍しくありません。
そんなときにおすすめしたいのが、膣トレグッズ。
膣内に器具を入れて、器具が落ちないように締めることで、骨盤底筋を動かす感覚がつかみやすいメリットがありますよ。
フェムフィット 膣トレボール
フェムフィットの 膣トレボールは、重りのついたシリコン製のボールを膣内に入れて活動することで、膣トレができる器具。
重力で外へ出てきそうになるボールを落とさないように膣を締めている内に骨盤底筋を鍛えることが可能です。
6つの異なる重さ(50g/65g/80g/95g/110g/130g)のボールがセットになっているので、最初は軽いものから始めてレベルアップしてみましょう。
ボールはせっけんで洗ってくりかえし使用可能。
ボール挿入時には潤滑ゼリーを薄く塗って使うとよいですよ。
elvie(エルビー)
エルビーはスマホと連動させてトレーニングを「見える化」した最先端の膣トレグッズ。
シリコン製の本体を膣内に挿入し、スマホにダウンロードした専用アプリと連携させることで膣圧(膣の締まり具合を示す数値)の測定が可能です。
しかも膣を締める・ゆるめる動作に連動してアプリ上でゲームをクリアするようにトレーニングができるので、自分の動かし方がこれでよいのか、トレーニングでどの程度膣圧が変化したかが一目瞭然!
まるでパーソナルトレーナーのように、あなたのトレーニングに寄り添ってくれます。
筒型のケースは充電&保存ケースになっていて、もし誰かに見られても膣トレグッズだとわからないスタイリッシュさも◎
HARUTA式 骨盤底筋キュキュトレーナー
HARUTA式 骨盤底筋キュキュトレーナーは、現役バレエダンサーとして活躍する春田琴絵さん監修のトレーニング器具。
バレリーナが強い体幹をつくるために行う筋トレメソッドを応用し、ガイドつきのボールを股間にはさんで締めることで内ももの筋肉(内転筋)と、そこに連動する骨盤底筋を鍛えることができます。
膣トレの注意点はある?
女性にとって嬉しいこと尽くめの膣トレですが、なにか気をつけることはないのでしょうか。
注意点も合わせて見ていきましょう。
毎日少しずつの継続が大切
筋肉は使わないと衰えていきます。
中でも骨盤底筋のようなインナーマッスルは、普段の動きであまり使わないため意識してトレーニングする必要が…。
そのために膣トレが重要なのですが、筋肉は貯金できるものではないので、まとめて集中的にトレーニングするよりは、毎日少しずつでもよいので積み重ねと継続が大切です。
なので、目標のセットをこなせない日があったとしても、とにかく気づいたら動かして続けてみましょう。
2~3週間つづけてみたら、その違いに気づくはずです。
膣トレに加え、保湿も意識して
粘膜でできている膣はとてもデリケート。
放っておくと、どんどん乾燥してしまいます。
さらに、加齢やストレスなどによってエストロゲンの分泌が減少すると、膣の粘膜はふっくらとした柔らかさが失われ、粘液の分泌が減ることで性交痛や膣炎などにつながることも。
なので、膣トレと一緒にぜひ意識してほしいのが膣の保湿。
膣ボールなど膣に挿入するトレーニンググッズを使用する場合は、しっかり保湿しておくことで粘膜への負担をおさえてくれる効果もあります。
デリケートゾーン用のソープでやさしく洗い、清潔にした状態で保湿剤をやさしくなじませてくださいね。
保湿剤にはゲルやクリーム、オイルなどさまざまなものが販売されているので、好みのテクスチャーをみつけてみて♡
iroha インティメートウォッシュ ベルガモットとビターオレンジの香り
フォームタイプでやさしく洗えるデリケートゾーン用ソープ。
専用ソープでしっかり洗うことで暑い季節や生理中の気になるニオイを軽減する効果も。
アンティーム ローズローション
ダマスクローズの香りにうっとりできそうなデリケートゾーン用保湿・潤滑ジェルローション。
症状の程度やトレーニングで改善しないとき専門家に相談して
たとえば、尿漏れに悩んで膣トレを始めたとして、2~3カ月トレーニングを継続しても効果が見られない場合、婦人科や泌尿器科への受診をおすすめします。
尿漏れには大きく分けて4つのタイプがあり、このうち「腹圧性尿失禁」と呼ばれるタイプには骨盤底筋を鍛える膣トレは比較的有効です。
しかし、膣トレで症状が改善しない場合は原因が他にあって、最適な治療法が異なる可能性もありますから、一人で悩まず専門家に相談してみましょう。
そのほかエコーで骨盤底筋の動きやクセを確認しながら、理学療法士がトレーニング方法を指導してくれるサロンなどもありますので、頼ってみるのも一つだと思います。
あなたも自分のための膣トレ、始めてみませんか?
今回は膣トレの効果やトレーニング方法を紹介しました。
膣トレは、女性が体の変化と向き合い、自分を愛するためのトレーニングでもあります。
トレーニングで起こるさまざまな変化は、きっとあなたに自信を与えてくれるはず♡
さぁ、あなたも膣トレを始めてみませんか。