2021.12.01

モラハラ上司の特徴と心理!行動の具体例を知って賢く対処しよう

上司から執拗に怒られたり、無視されたりして悩む女性は少なくありません。上司による職場いじめは立派な「モラルハラスメント」であり、早急に対処すべき重大な問題です。この記事ではモラハラ上司にスポットを当て、特徴や対対処法を紹介します。

「モラハラ」とはそもそも何?


「モラハラ」とはモラルハラスメントの略称で、簡単に言うと「上司や同僚から行われる職場いじめや嫌がらせ」のことを意味します。

要するに「大人のいじめ」であり、学生間のいじめでよくある暴力行為や金銭の要求行為に発展することはほとんどありません。

嫌味や無視、理不尽な扱いなど、わかりにくく陰湿な行為がモラハラの大部分を占めており、加害者は小さないじめを継続することで、被害者に大きな精神的苦痛を与えます。

最悪のケースでは、モラハラが原因で何らかの精神疾患になり、退職せざるを得ないという場合もあります。
上司からのモラハラは被害者が「自分が悪いのかもしれない」「上司だから我慢しなくては」と考え、耐えてしまう傾向にありますが、モラハラはどんな職場でも絶対に許されるものではありません。

指導とモラハラの違い


モラハラは同僚間や部下から上司に行われることもありますが、上司が部下に「指導」と称してモラハラをするケースが多くなっています。

しかし、「指導」と「モラハラ」は全くの別物です。

そもそも指導とは、部下に間違いがあれば指摘し成長に導く行為です。
対するモラハラは、ただ部下に精神的苦痛を与え委縮させる行為です。

中には「モラハラ行為によって部下の怒りを増幅させ成長を促す!」なんてことを平気で言う上司もいますが、モラハラ行為が部下に成長をもたらすことはありません。

モラハラ上司は「部下を指導している」と捉えていても、実際はただ部下を傷つけているだけの場合もあるのです。

悪質なモラハラは罪に問われる場合がある


モラハラ行為は、法律で明確に禁止だと定められているわけではありません。
しかし、モラハラ行為の内容によっては、侮辱罪や名誉棄損罪に該当し罪に問われるケースがあります。

また、会社には「職場環境配慮義務」という義務が課せられていて、従業員が働きやすいよう配慮しなくてはいけません。

そのため、モラハラを放置する職場はしかるべき義務を怠ったと見なされ、責任を問われるケースもあります。

モラハラ上司に共通する5つの特徴と具体例


自分の上司がモラハラ上司なのか、確証を持てずに悩んでしまうことがありますよね。
ここでは、モラハラ上司の具体的な特徴を解説するので、ぜひあなたの上司の行動と照らし合わせてみてください。

1.見せしめのように人前で怒る


まるで見せしめのように、ほかの社員が大勢いる場所で大々的に怒る上司は、モラハラ上司である可能性が高いです。
たとえ怒られた原因があなたのミスであったとしても、ミスをした原因を部下に認識させ、解決に導いてあげるのが上司の務めです。

人前かつ大声で怒る必要はどこにもありません。
人がたくさんいる場所で怒られると、人は羞恥心が刺激されます。

そうすると「恥ずかしいから早く終わってほしい」と考え、本来は主張すべきことも言えなくなってしまうのです。
また「周囲からダメな人だと思われただろう」と自信をなくし、トラウマになってしまう人も少なくありません。

2.暴言や侮辱をする


「こんな簡単な仕事もできないなんて人間じゃない!」「死ね!」など、暴言や侮辱によって部下を傷つける上司は確実にモラハラ上司です。

上司は冗談のつもりかもしれませんが、暴言や侮辱を受けた人間はいつまでも心に深い傷を負います。
また、中には椅子を蹴ったり物を投げつけたりと「小さな暴力行為」に走るモラハラ上司も。

モラハラは「体には攻撃しない」ケースが一般的ですが、暴力的な一面をちらつかせて部下を委縮させるモラハラ上司もいるのです。

3.職場内で孤立させる

  • 一人だけランチに誘わない
  • 陰口や悪口を言いふらす
  • 挨拶を無視する

など、職場であなたを孤立させるような行動を故意的に取る上司は、高確率でモラハラ上司といえるでしょう。
意図的に仲間外れにされれば、誰だってショックを受けますよね。

また、孤立歴が長くなるほど、人は「自分は社内に必要のない存在なんだ」と孤独感を強め、精神的苦痛も大きくなります。

話しかけても無視されるため仕事も思うように進まず、モラハラ被害者はますます自分の居場所を見失ってしまうでしょう。

4.仕事の邪魔をする


到底こなせない量の仕事を押し付ける行為や、反対に一切の仕事を取り上げる行為、または業務に必要な連絡を断つ行為など、仕事の邪魔をする上司もモラハラ上司です。

モラハラ上司はあえて部下の仕事を邪魔して失敗を誘い、実際に失敗すればそれをネタに部下を怒鳴るという悪質な行為に出ることがあります。

部下自身も自分の仕事をうまくこなせないことでストレスがたまり、次第に自信を失っていくでしょう。
仕事の質が低下するため社内評価や昇給にも悪影響を及ぼす可能性があり、モラハラ被害者が追い詰められやすい事例の1つと言えるでしょう。

仕事量の不公平が与える影響と、改善するためのポイントについては、こちらの記事で解説しています。

関連記事

5.プライベートや家族を否定する


プライベートの過ごし方や趣味を詮索してなじったり、家族や恋人、友人関係を否定したりする上司もモラハラ上司と断言できます。

このタイプの上司は「プライベートに関する雑談を部下としているだけ」と思っている場合もあり、自分がモラハラをしていると気づいていない場合も多いことが特徴。

また、会社に相談しても「ただ雑談してるだけだろう?」と扱われ、まともに取り合ってもらえないことがあります。
しかし、自分のパーソナルな部分だからこそ否定された側のストレスは大きく、モラハラ被害者の精心的苦痛は計り知れないほど大きいのです。

モラハラ上司に屈しないための対処法7つ


「モラハラ上司は嫌だけど今の環境は変えたくない」「転職は視野に入れているけど今すぐは辞められない」と考える人も多いはず。

となれば、モラハラ上司に上手く対応し、自分の身を守る必要があります。
ここからは、そんな時に使えるモラハラ上司の対処法を5つお伝えします。

1.仕事はミスなく仕上げることを意識する


仕事は、普段以上にミスに気を使って取り組むようにしましょう。
メインの大きな仕事はもちろん、雑用や掃除に至るまで気を抜くことはできません。

なぜなら、モラハラ上司にとってミスをする部下は恰好の餌食であり、たとえ小さなミスでも執拗に責められモラハラへとエスカレートする可能性があるためです。

もちろん常に完璧は難しいかもしれませんが「ミスを減らそう」と心がけるだけで仕事の出来は格段に変わります。
自分自身のスキルアップにもつながるため、ミスがないよう細心の注意を払ってください。

2.落ち着いて堂々とモラハラ上司と接する


モラハラ上司と接する時、恐怖心からついおどおどしてしまう人は多いです。
ですが、モラハラ上司と話す際はできるだけ心を落ち着かせ、堂々と振る舞わなくてはいけません。

おどおどすればするほどモラハラ上司を楽しませ、モラハラ行為を加速させてしまいます。
堂々と強気に振る舞うことで、モラハラ上司は「いじめれば仕返しをされるかもしれない」「会社に報告されるかもしれない」と考えモラハラ行為を控えるようになるのです。

大きな声でゆっくりハッキリ発言すること、しっかり目を見ながら冷静に話すことを意識するだけでも、相手に与える印象は変わります。

上司とのコミュニケーションをうまく取れないひとは、こちらの記事も参考にしてください。

関連記事

3.明らかなモラハラ行為は拒否する


モラハラ行為はわかりにくく、被害者ですら咄嗟にはモラハラだと判断できない場合があります。
ですが全く業務に関係のない質問をされた場合や、一方的な誹謗中傷など、モラハラだと瞬時に判断できる場合もありますよね。

そんな時は、はっきりと質問や要求を拒否しても問題ありません。
ただし、乱暴な言葉を使えばあなたの印象が悪くなるので、あくまで敬語は崩さないのが鉄則です。

反論する姿を見せることでモラハラ上司に圧力をかけられるほか、あなたの様子に気づいてモラハラ上司よりも高い役職の人が声を掛けてくれる可能性があります。

4.相談できる人を見つける


あなたの話に耳を傾け、親身になってくれる同僚や先輩を必ず見つけておきましょう。
誰かに相談できる環境があるだけで、気持ちがラクになります。

モラハラ被害に遭えば、どんな大人でも追い詰められて正常な判断ができなくなる可能性があります。
判断能力が鈍ればモラハラを受け入れてしまったり、全て自分が悪いと思い込んだり、モラハラ被害を悪化させる要因を増やしてしまうでしょう。

あなたの悩みや不安を聞き、第三者の視点からアドバイスをくれる人は、必ずあなたの心強い味方となってくれるはずです。

5.モラハラの証拠を集める


モラハラをされていると感じているのなら、日頃からモラハラ上司の振る舞いを記録するようにしましょう。
上司のモラハラを、会社や外部機関に報告する際、モラハラに関する情報証拠は必ず必要となります。

録音や録画データはもちろん、メールやLINE、モラハラを記録したメモなども証拠として認められますよ。
メモは「いつ、どんな状況で、どのような言動を取られたか」が具体的に記載されていれば、スマートフォンやパソコンを使って入力した文章でも問題ありません。

しかし証拠を集めていることがモラハラ上司にバレてしまうと、人間関係をさらに悪化させる火種となってしまいます。

証拠の存在がモラハラ上司にバレないよう、証拠の保管方法や場所などには注意が必要です。

6.モラハラ上司の実態を会社に報告する


モラハラ上司の行いが一向に改善されない場合は、証拠と一緒にモラハラ上司の行為を会社に報告しましょう。
報告相手は必ずモラハラ上司よりも上の役職の人を選び、可能であればじっくりと話ができるよう、少人数での話し合いを希望するのがポイントです。

会社があなたの話を聞き問題に向き合ってくれた場合、上司に指導が入りモラハラ行為が収束するでしょう。
しかし、中にはモラハラに理解のない会社もあります。

相談しても、「君の思い違いじゃないのか」「(モラハラ上司と)よく話し合ってみたらどうだ」など、重大な問題として扱ってもらえない場合もあることは知っておいてください。

7.外部の機関に相談する


会社が取り合ってくれない場合でも、諦めてはいけません。
あなたのモラハラ問題に向き合ってくれる外部機関があるので、会社が頼りにならない場合は外部機関を利用しましょう。

まず足を運んでほしいのが「総合労働相談コーナー」の窓口です。
総合労働相談コーナーとは、いじめや不当な解雇など職場トラブルの相談に乗ってくれる専用機関のこと。

厚生労働省によって設置され、都や県の労働局や労働基準監督署内に点在しています。
また、あまりにもひどいモラハラを受けて許せないという場合は、労働問題に精通した弁護士に相談してみるというのも有効な対策です。

モラハラ上司の5つの心理


「何が楽しくて上司はモラハラ行為をするの?」と私自身も不思議ですし、同じ疑問を抱く人も多いでしょう。
ここからは、そんなモラハラ上司の心理を解説していきます。

1.自分の力を示したい


モラハラ上司の多くは「周囲からできる人間だと思われたい」「影響力を誇示したい」という自己顕示欲から部下をいじめる傾向があります。

「自分の方が優れた知識を持っている」と示すために部下を追い詰め、自分に従わなければ「お前も同じ目にあうぞ」と周囲に理解させるため、1人にターゲットを絞りいじめ抜くのです。

しかし「自分の力を過剰に示したい」という心理を裏返せば、それは「自信のなさの表れ」でもあります。
本当に実力がある人はわざわざ見せつけなくても、周囲が力を認めるため、自然に自信が養われるはずです。

自分本来の実力だけでは部下をうまくまとめられないため、上司はモラハラという安直な行為で実力以上の力を示そうとします。

2.「指導している自分」に酔っている


モラハラ行為を立派な指導だと捉え、「部下のために指導している自分」に酔っているモラハラ上司もいます。

このような上司は状況分析能力や共感能力が低いという特徴があります。
また、自分を客観視できていないため「悪いことをしている」という自覚すらありません。

これは管理職になる素質がないまま、上司という立場を手に入れた人が陥る心理です。
本人に悪意がない分、改善が難しい場合もあります。

3.ストレスを発散したい


仕事や家庭のストレスを、部下にぶつけて発散しようというモラハラ上司もいます。
モラハラ上司本人も「いじめている」と自覚している場合が多いですが、それを「悪いこと」と認識していません。

なぜなら、このタイプの上司は基本的に考え方が幼稚で、自己中心的な性格を持つ傾向があるためです。
モラハラ行為が行われるタイミングも「上司のストレスがたまった瞬間」のため、誰にも予測ができず、モラハラ被害者の大きなストレスとなります。

4.自分もやられたから人にもしていいと思っている


モラハラ上司の中には「過去に自分も上司からモラハラを受けた」という人も実は多いです。これは昭和生まれの上司に多い傾向があります。

「自分がされて嫌なことをなぜ人にするの?」と疑問に思う人もいるかもしれませんが、このタイプの上司の心理は大きく分けて2つに分類できます。

1つは「自分もやられたんだから、やったっていいだろう」と開き直っている場合。
そしてもう1つが「やらなければ自分がいじめられる」と強迫観念に支配されている場合です。

上司本人もトラウマから脱却できていない証拠ですが、どんな理由があったとしても部下にモラハラ行為をやっていい理由にはなりません。

5.あなたに嫉妬している場合も


モラハラ上司も腹の底ではあなたの能力を認めており、そんなあなたに嫉妬してモラハラ行為をしている可能性もあります。

単純にあなたの才能を妬んでいるだけの場合もありますが、中には「このままでは自分の立場が脅かされる」という怯えから、あなたを潰そうと考えているのかもしれません。

モラハラ上司に耐え続けることの悪影響


モラハラが表面化しにくい理由として、「仕事にストレスは付きもの」と被害者が考え我慢してしまうことがあげられます。

しかし、モラハラ上司の悪質な行為に耐える必要はありません。

それどころか、耐えることで状況がさらに悪い方向へ進むこともあります。
ここからは、モラハラ上司に耐え続けることでの悪影響を3つ解説します。

自信をなくし仕事の効率が下がる


長年モラハラに耐え続けると、いつの間にかどんどん自信を喪失し、仕事にも影響が出てしまいます。

誰だって毎日のように「お前はダメなやつだ」「できない人間だ」といった態度で上司に否定され続ければ「自分はダメで、できない人間なんだ」と自らも思い込んでしまうもの。

しかし、人間は自分で自分のことを過小評価すれば、本来の能力を発揮できなくなってしまいます。
「自分はダメだからきっと失敗する」という怯えが出てしまうため、のびのびと働くことができなくなるのです。

働くことに恐怖心を抱くようになる


モラハラ上司に耐え続けると、働くことに恐怖心を抱くようになります。
「労働=働いてお金を貰うこと」ではなく「労働=誰かにいじめられること」に認識がすり替わってしまうのです。

そうなれば働くことそのものにトラウマを抱え、たとえ転職や異動をしたとしても労働に対し前向きになれません。
出社するのが怖くなったり、職場を転々としたりすることとなり、順調なキャリアから遠ざかってしまうでしょう。

仕事に行きたくない時の対策については、こちらの記事で解説しています。

最悪の場合は病気になることも


モラハラ上司が原因で、心や体の病気を発症する人は多いです。
モラハラ行為によるストレスは、自律神経のバランスを乱し、心身にさまざまな悪影響を及ぼします。

そうなれば働くことはおろか、これまで通り趣味を楽しむことさえできなくなってしまうかもしれません。
人は、一度疲れ切って倒れてしまうと、次に立ち上がるまでに長い時間と大きなパワーを要します。

だからこそ、疲れ切る前にストレスの原因であるモラハラ上司の対策を考える必要があるのです。

モラハラ上司の対処法を身につけよう


今回は、モラハラ上司の特徴と対処法についてお伝えしました。
モラハラ上司に出会ってしまうと、「指導の一環かもしれない」と考えて我慢しがち。

しかし、早い段階で正しく対処することで、モラハラをエスカレートさせずに済む可能性があります。
この記事を参考に、モラハラ上司から上手に身を守ってくださいね!

関連記事

この記事をシェア

Twitter
Facebook
ごとうゆき(ライター)
ごとうゆき

恋や仕事に悩む女性を応援するマルチライター

web制作会社に勤務し、デザイナー兼ライター業務を担当。女性らしいデザインや文章を学ぶ。認定心理士の資格を所持しており、心理分析をもとにした恋愛記事が得意。現在はフリーライターとして恋愛、キャリア、エンタメなどの情報を発信中。恋に悩む女性の背中を押せるよう、心を込めて記事執筆しています。

このライターの記事を見る