社会人の年賀状はビジネスマナーを意識
社会人として上司に出す年賀状は、ビジネスマナーを意識する必要があります。
友人など親しい関係の相手に出す年賀状とは、区別して考えた方がよいでしょう。
近年は年賀状を出す機会が減っていますが、毎日顔を会わせる上司に対して、新年のあいさつとともに日頃の感謝を伝える良い機会です。
しかし、会社によっては年賀状を省略している場合もあります。
事前に社内規定をしっかりと確認しておきましょう。
一言添える前に確認したい書き方の基本5つ
手書きの年賀状は、丁寧な印象で気持ちも伝わります。
しかし、出す相手が多い場合、一枚一枚書くのはとても大変です。
パソコン印刷でも問題はありませんが、必ず余白に手書きで文章を追加しましょう。
印刷のみの年賀状では、温かみが感じられないためです。
ここでは、年賀状に手書きで一言添える前に確認しておきたい基本マナーを紹介します。
上司に失礼がないよう、しっかりとポイントを押さえておきましょう。
1.賀詞の使い方に注意する
賀詞とは、お祝いの気持ちを表す言葉で年賀状には不可欠です。
賀詞には種類があり、相手によって使い分ける必要があります。
賀詞は大きく分けると以下の4種類です。
- 1文字の賀詞(賀、寿、春など)
- 2文字の賀詞(賀正、迎春、初春など)
- 4文字の賀詞(謹賀新年、恭賀新年、慶賀光春など)
- 文章の賀詞(あけましておめでとうございます、謹んで新年をお祝いします、など)
上司など目上の人には、4文字・文章の賀詞を使いましょう。
相手に対して敬意の気持ちをあらわす「謹」「恭」「謹んで」が入っている言葉を選べば間違いありません。
1文字・2文字の賀詞は「おめでたい」という意味だけで相手への敬意が欠けているため、目上の人に対しては失礼にあたってしまうのです。
また、賀詞の重複使用にも注意しましょう。
「新年あけましておめでとうございます」は、同じ意味である「新年」と「あけまして」の重複表現です。
印刷の「謹賀新年」に「あけましておめでとうございます」と手書きする場合も、同様に重複表現です。
2.忌み言葉に注意する
新年を祝うあいさつである年賀状では、不吉なことを連想させる忌み言葉を避けましょう。
忌み言葉とは、終わる、落ちる、切れる、消える、壊れる、失う、倒れるなどです。
よく使いがちで注意が必要なのは「去年」。
「去」は去る、離れるという意味がある忌み言葉です。
年賀状では「昨年」「旧年」と言い換えましょう。
3.縦書きで書く
年賀状は文章、宛名ともに縦書きにしましょう。
日本語は縦書きが正式なためです。
近年は横書きのデザインも増えてきており、年賀状では表面と裏面で縦横を揃えるのが基本です。
友人の場合は縦横どちらでも問題ないですが、上司の場合は縦書きにしましょう。
4.句読点は使わない
手書きで文章を添える場合、句読点(「。」や「、」)は使わないようにしましょう。
句読点には、縁切りや別れのような意味を含む「区切りがつく」という考え方があるためです。
年初めのあいさつである年賀状では、人間関係の区切りをつけないための礼儀として句読点の使用は避けた方が無難です。
文字が詰まって読みにくい場合は、スペースなどを入れて調整しましょう。
5.色ペンやボールペンは避ける
友人への年賀状は色ペンやボールペンでも問題はありません。
しかし、上司など目上の人への場合、色は黒で統一し、ボールペンではなく万年筆や毛筆を使うのが理想的です。
ボールペンが望ましくない理由としては、字が細く見た目が貧相になること、日常的に使う文房具のため事務的な印象を与えてしまうことが挙げられます。
上司への年賀状に一言添え書きする例文
上司への年賀状に一言添え書きする際は、丁寧な言葉遣いで失礼のないように意識しましょう。
内容は日頃の感謝や新年の抱負、健康の気遣いなどが適しています。
具体的なエピソードも入れると、より相手の心に響く気の利いた年賀状になりますよ。
ここでは、日頃の感謝、健康の気遣い、新年の抱負の例文をそれぞれ紹介します。
日頃の感謝
- 旧年中は温かくご指導くださり誠にありがとうございました
- 日々のご指導ご鞭撻に心から感謝しております
- いつもお心遣いをありがとうございます
- 〇〇さんのおかげで社会人として新年を迎えられました
健康の気遣い
- いつもお忙しくされていますが、お身体ご自愛ください
- ご健勝をお祈りしています
- お身体お大事にしてください
- いかがお過ごしでしょうか
新年の抱負
- 期待に応えていけるよう、本年も精一杯努力してまいります
- 本年はより一層成長できるように頑張ります
- 昨年の経験を活かして精進する所存です
- 本年もご期待に添えるように頑張ります
上司に出す年賀状の基本マナー3つ
年賀状は通常の文書とは異なる特別なマナーがあります。
相手に失礼なく新年のあいさつができるよう、年賀状の基本マナーを確認しておきましょう。
1.必ず元旦に届くように準備する
年賀状において最も大切なことは「元旦に届く」ことです。
年賀状が元旦に届かないとマナー違反と感じる人もいるため、注意しましょう。
年賀状の引受は例年12月15日から12月25日までとなっており、この期間に投函すれば元旦に届きます。
12月初旬ごろから、余裕を持って準備を始めましょう。
年賀状印刷を依頼する場合、早くから準備すれば早割りも適応されますよ。
2.家族写真はできるだけ避ける
家族写真や子どもの写真入り年賀状は、親しい友人や親族までにとどめておいたほうが無難です。
上司に対しては、家族ぐるみで親しく付き合いがある場合や個人的に結婚・出産祝いをもらった場合以外は避けましょう。
家族写真や子どもの写真を嫌がる、また処分に困ると感じる人もいるためです。
写真入り年賀状でも松竹梅や富士山など美しい風景や縁起物の写真は、目上の人に対しても問題ありません。
3.書き損じたら必ず新しいはがきに書く
年賀状を書き損じてしまった場合は、必ず新しいはがきに書きましょう。
修正テープなどを使うのはマナー違反です。
書き損じたはがきは、郵便局に持っていき手数料を払うと切手や官製はがきに交換できます。
書き損じはがきは処分せずに活用しましょう。
年賀状を出していない上司から届いたら?
こちらから年賀状を出していない上司から届いたら、焦ってしまいますよね。
しかし、落ち着いて対応すれば問題ありません。
まずは必ず返信しましょう。
返信できるタイミングによって対応が変わってくるため、詳しく解説していきます。
松の内(1月7日)を境に対処方法が異なる
正月を祝う期間である松の内(1月7日)までに返信できる場合は年賀状、松の内を過ぎてしまう場合は寒中見舞いとして返信します。
どちらの場合も、新年のあいさつが遅れたことを簡潔に謝罪しましょう。
1月7日は相手に届いている日であり、投函する日ではないことに注意してください。
また、寒中見舞いは寒さが厳しい1月から2月に相手を気遣うあいさつ状です。
新年のあいさつである年賀状とは意味合いが異なります。
寒中見舞いは年賀はがきではなく官製はがきを使う点も含め、しっかりと違いを理解しておきましょう。
1.年賀状として返信する場合の例文
恭賀新春
旧年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくご指導のほどよろしくお願いいたします。
お心のこもった年賀状をいただき誠にありがとうございました。
新年のご挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます。
令和〇〇年1月
2.寒中見舞いとして返信する場合の例文
寒中お見舞い申し上げます。
ご丁寧な年賀状をいただきありがとうございます。
ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。
寒さ厳しい折どうぞご自愛くださいませ。
令和〇〇年1月
年賀状は上司に日頃の感謝を伝える絶好のチャンス
毎日顔を合わせている上司に対して、直接感謝の気持ちを伝える機会はそう多くありません。
年賀状は、新年のあいさつとともに日頃の感謝や前向きな抱負を伝える絶好のチャンスです。
相手に失礼のないように、基本的なマナーをしっかり守って年賀状を出しましょう。
年賀状がコミュニケーションのきっかけとなり、上司とより良い関係を築けるかもしれません。