断りづらい人の心理とは?
すでに仕事をたくさん抱えているのにもかかわらず、頼まれると断れずに引き受けてしまい、あとで「断ればよかった」と悔やんでいませんか。
仕事を断れない人は、以下のような心理が働いていることが多いです。
・断って嫌われたくない/人間関係が悪くなると困る/もめたくない
・せっかく頼ってくれているのに、断るのは申し訳ない/役に立ちたい
・良い人
・仕事ができる人だと思われたい
実際には、理由があってできない仕事を断るのは悪いことではなく、罪悪感を抱く必要もありません。
むしろ、仕事を引き受けすぎて中途半端なレベルで終わったり、納期に間に合わなかったりするほうが問題です。
仕事のできる人どころか、信用を失い、評価を下げてしまう場合もあります。
かなり無理しないとできないような状態なら、早めに断ることも大切です。
断ることでどのようなメリットがある?
断りづらいと思っても、キャパを超えている仕事は断ってかまいません。
むしろ、断ることが大事です。
ここでは、断ることでどのようなメリットがあるかについて解説します。
クオリティの高い仕事ができる
たくさんの仕事を抱えていると、ひとつひとつにかけられる時間が限られます。
いろんなことを同時並行で進めなければならず、かえって集中力も低下するでしょう。
結果として仕事の質が落ちる可能性が高いです。
適切な分量の仕事を担当するのであれば、気持ちにも余裕が持て、集中して取り組めます。
時間も手間もかけられるため、クオリティの高い仕事ができる可能性が高いです。
ストレスやプレッシャーが減る
仕事に追われると、プレッシャーを感じ、精神的な余裕がなくなります。
頼まれた仕事の山を見て、「引き受けなければ良かった…なんで私って断れないんだろう」とため息のひとつもつきたくなるでしょう。
余計な仕事を引き受けなければ、このようなストレスを受けることもありません。
信用を失わずにすむ
断り切れずに仕事を引き受けたあげく、期日までに間に合わなかった場合、信用が大幅に低下してしまうでしょう。
それだけでなく、依頼してきた相手に迷惑をかけることにもなります。
頼まれたときに無理だと判断してきちんと断っておけば、そういった事態は起きません。
相手も手が空いている別の人に頼めて、スムーズに仕事を進めることができるでしょう。
評価を下げない断り方とは?4ステップでうまく断ろう
どうしてもできない仕事を断ることは、悪いことではありません。
しかし、断り方には注意が必要です。
たとえば、「今はできませんよ!」「そんな仕事する余裕がないって見てわかりませんか?」などと攻撃的な断り方をしてはいけません。
このように言われれば、たとえどのような理由があろうと相手が気分を害する可能性が高いからです。
仕事を断るときは「謝罪・理由説明・お断り・代替案提案」の4つのステップでいきましょう。
STEP1.謝罪
依頼されて断るときは、まず引き受けられないことについて謝罪の言葉を述べましょう。
たとえば、「申し訳ありません」「せっかく声をかけていただいたのに、申し訳ないのですが…」などというと良いでしょう。
また、相手によっては以下のように「感謝」や「喜び」を伝えるパータンも使えます。
- お声をかけていただき、ありがとうございます。ただ、せっかくなのですが
- 引き受けたいとは思うのですが
- ご期待いただき、嬉しいのですが
まず謝罪や感謝などの言葉をワンクッション入れることで、誠意が相手に伝わります。
依頼してきた相手も断られることに対して悪い印象を抱きにくくなるでしょう。
STEP2.理由説明
断る以上、引き受けられない理由はきちんと述べる必要があります。
これは、理由があるなら仕方がないと相手も納得しやすくなるからです。
このとき、「忙しいので」「今、時間的に余裕がなくて」といったあいまいな理由を述べるのは適切ではありません。
なぜなら、「本当に?」「そうはいってもなんとかできるでしょ」と思われてしまう可能性があるからです。
とはいえ、依頼してきた相手も忙しいので、あまり長々と自分の状況を話すのも好ましくありません。
具体的な理由を、簡潔に説明するのがベストです。
たとえば、「〇〇の資料を本日3時までに完成する必要があり、その後は××に関してお客様との打ち合わせが入っているんです」といった調子ですね。相手も「それならしかたない」と納得するでしょう。
STEP3.きっぱりとお断り
理由を説明したら、「このような状況ですので、無理です」「申し訳ないですが、できかねます」などと明確にお断りすることが大切です。
「うーん、ちょっとどうでしょう」「今の状態でできるかどうか…」などと判然としない言い方をしてはいけません。
「できるのかできないのか、結局どっちなんだ」とイライラさせてしまう恐れがあるからです。
相手によっては「大丈夫、できるよ」と押し通さてしまうこともあるでしょう。
そうならないように、きっぱりと断る必要があります。
STEP4.代替案を提案
はっきり断ったあとは、「来週以降なら対応可能です。それでもよろしいでしょうか」など代替案を提案すると良いでしょう。
これは、頼まれた仕事を受けようとする気持ちがあることが相手に伝わり、断った印象を和らげられるためです。
【上司・取引先別】メールでの断り方例文
それでは、実際に断るときはどう伝えれば良いのか、例文を示しましょう。
上司と取引先別に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
上司からの依頼を断るとき
上司から仕事を依頼されると、断りにくいと感じる人も多いでしょう。
断る際のポイントは、「謝罪・理由説明・お断り・代替案の提案」の4ステップを踏まえること、自分が抱えている仕事の状況について簡潔に伝えることの2つです。
〇〇部長
××です。
ABCプロジェクトの件、お声がけいただき、ありがとうございます。
大変申し訳ないのですが、今週末までに〇〇案件の提案書を作成しなければならず、お引き受けするのが難しい状況です。
来週以降でよろしければ対応可能かと思いますが、いかがでしょうか
前置きや挨拶は不要です。
伝えたい内容だけを簡潔に書きましょう。
取引先からの依頼を断るとき
取引先に頼まれたことを断るのは勇気が要りますね。
不快にさせることのないよう、言葉遣いに特に注意する必要があります。
まずは感謝の気持ちを伝え、断るのは不本意であることや力になりたいと考えている気持ちが伝わる内容にしましょう。
〇〇株式会社
営業部 〇×様
いつもお世話になっております。
株式会社×〇 営業部 ××です。
先ほどは、〇〇に関してご相談いただき、誠にありがとうございます。
大変恐れ入りますが、不本意ながらご相談の件に関しましてはご辞退させていただきたく存じます。
現在、弊社内のリソースが不足しており、御社の希望される期日までに対応するのが難しい状況にあるためです。
せっかくのご機会をいただきながらこのような返答となり、深くお詫び申し上げます。
ご理解、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
なお、1カ月ほど納期をご調整いただけましたら、対応可能かと存じます。
ご検討いただければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
丁寧に感謝を述べ、辞退する旨ははっきり伝えたうえで、納期調整をしてくれればなんとかすると伝えています。
こうした文章は、誠意が伝わりますね。
上手な断り方をマスターして仕事のできる人になろう
仕事を断るのはなかなか勇気が要りますが、やみくもに引き受けても良い結果は生まれません。
依頼された仕事をこなすのが難しいときは「謝罪・理由の説明・お断り・代替案の提案」の流れで断るのがおすすめです。
この断り方であれば、相手も気分を悪くすることなく「それならしかたない」と諦めてくれるでしょう。
無理な依頼を断れるスキルが身につけば、ひとつの仕事にかけられる時間や手間が増えるのでクオリティがあがります。
上手な断り方をマスターして、仕事のできる人になりましょう。