企業が抱えるテレワークの課題
テレワークを取り入れたものの、規模を縮小したり、オフィスワークに戻したりする企業も出てきています。
「株式会社東京商工リサーチ」の調査によると、26.7%の企業がテレワーク導入後に中止しています。
出典:株式会社東京商工リサーチ|第6回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(外部リンク)
ここでは、テレワーク導入による課題を見ていきましょう。
業務内容によってはテレワーク化できない
業務によって、テレワークを行うことのできる業務とできない業務、不向きな業務が存在します。
実際に現場に出ないと仕事が行えない業務や職種だと、テレワークを行うことは基本的に難しいでしょう。
また同じ企業内であっても、テレワーク化することのできる職種とできない職種が別れる場合も考えられます。
そうなると、部署ごとに不公平な状況が発生し、社員の不満にもつながりかねません。
情報漏洩などセキュリティ面のリスク
テレワークを実施することで、情報漏洩や情報機器などの紛失のリスクが高まります。
社員が社外にパソコンを持ち出して、仕事を行うため、セキュリティ管理が十分に行えないのが原因です。
また、社内以外にパソコンや情報機器などの機材を持ち出すことで、盗難や紛失の恐れもあります。
その結果、ウィルス対策や不正アクセスなど、セキュリティ対策をきちんと行えないと、情報漏洩などのリスクが生じてしまいます。
労務管理が難しい
テレワークでは、労務管理が難しいという課題があります。
その理由として、業務の開始や終了時間を正確に把握しにくい点があげられます。
また、従来のオフィスワークに比べ、社員同士のコミュニケーションが不足しがちという課題もあります。
テレワークでは気軽に質問や確認を行えないため、社員同士の連絡のハードルが高くなるためです。
その結果、業務の生産率が下がったり、人事評価を正確に行うことが難しくなったりと、さまざまな問題が起きてしまう場合もあります。
社員間のコミュニケーション不足
テレワークを導入することで、社員同士のコミュニケーションが希薄になってしまいます。
テレワークだと、オフィスワークに比べ、近くにいる同僚に話しかけるといった気軽なコミュニケーションが取りづらくなるのが問題です。
目の前にいれば気軽に話しかけられても、電話やチャットで連絡をするとなると、人によってはハードルが高く感じられます。
そのため、コミュニケーション不足によるチームの悪化や生産性の低下などの問題が生じる可能性があります。
環境づくりのコストがかさむ
テレワークを導入しようとすると、まずはその環境を整えなければなりません。
スムーズに業務に取り組むためには、通信速度に支障が出ないようにする必要があります。
そのため、テレワークを行える環境を整えるために、コストがかかってしまうという問題が生じます。
また、自宅で仕事を行うために、長時間の業務に適した机や椅子なども必要となります。
仕事を行うための静かな部屋も用意しなければならず、社員にも準備が必要です。
テレワーク導入による課題への解決策5つ
テレワークの課題は、解決することができる場合があります。
ここでは、テレワーク導入による課題の解決方法について紹介します。
1.テレワークの可能な業務の選別
テレワークに向いている業務は主に、デスクワーク中心の業種・職種です。
テレワークの導入をしようと考えると、社内全体をテレワークにしないといけないと思われがちです。
しかし、テレワークの可能な業務の選別を行うことで、少しずつテレワークを取り入れることができます。
製造業や接客業などテレワークに移行しづらい業務に関しては、アウトソージングや自動化を取り入れて、なるべく出社しなくてもいいように業務の整理を行いましょう。
2.環境整備と従業員の教育によるセキュリティ強化
セキュリティ面については、ウィルス対策のソフトの導入やアクセス管理、通信の暗号化をすることをおすすめします。
また、パスワードロックのかかったUSBメモリの使用やWi-Fiルーターの貸出を行うことでセキュリティ対策に繋がります。
情報漏洩を防ぐ環境整備を整えたうえで、社員に対するセキュリティ対策の教育を徹底しましょう。
テレワークを導入するにあたり、社員の情報セキュリティ対策に対する意識を高めることで、自覚をもって行動することができるでしょう。
3.勤怠管理を行えるツールの導入
社員の労務管理には、稼働状況が把握できるツールを導入するとよいでしょう。
ツールを使用すると、パソコンのログイン時間やソフトウェアの利用時間、勤務日数や勤務時間をデータ化して従業員の勤務状況を把握できるというメリットがあります。
ツールを導入することで、勤務状況の把握もしやすくなり、社員の過剰労働などを防ぐ効果も期待できます。
勤怠管理ツールには、下記のようなものがあります。
ジョブカン
機能性が高く、使いやすいので多くの企業で導入されています。
低コストなのもポイントです。
AKASHI
PCやスマホ、タブレットで出退勤を行うのに適したツールです。
GPS機能も使用でき、どこから出勤しているかも把握できます。
KING OF TIME
ICカードやwebからの打刻をするのに対応しています。
スケジュールの管理や、休暇管理も行えるツールです。
SMILE V 人事給与 勤怠管理テンプレート
従業員の勤務状況をデータ化することができ、リアルタイムでの確認も可能です。
過重労働や打刻漏れのアラートチェック機能も備わっているので、便利です。
4.コミュニケーションツールの導入
不足がちな社員同士のコミュニケーションは、コミュニケーションツールや情報共有用ツールを導入することで、解決できる場合があります。
ツールを使ってこまめに連絡を取り合ったり、ビデオ会議で顔をあわせてやりとりをとることで、コミュニケーション不足を改善できます。
ツールの種類は主に下記のようなものがあります。
オンライン会議システム
主にインターネットを通じてのビデオ通話で、会議が行えるツールです。
ビジネスチャット
社員同士で気軽に会話するのに便利なコミュニケーションツールです。
SNSのように使えるのが特徴です。
スケジュール管理、グループウェア
社内で情報共有するのに必要な、さまざまな機能のあるビジネスツールです。
スケジュールやメール、チャットやタイムカードなど業務で使用する複数のツールが1つになっています。
情報共有ツール
社内のデータを集約して共有するためのツールです。
プロジェクト・タスク管理ツール
チーム全体やメンバーごとの進捗状況を一目で把握できるツールです。
チームでの作業が行いやすくなります。
代表的なコミュニケーションツールとしては、「LINE WORKS」があげられます。
LINEの操作性は変わらず、ファイル共有や掲示板など、ビジネスにおいて必要な機能を備えているツールです。
スマートフォンからも操作ができ、使用しているユーザーの多いアプリなので、使いやすいのが特徴です。
5.助成金の利用する
テレワーク環境を作る際は、助成金を積極的に活用しましょう。
助成金を活用することで、テレワーク導入時に発生する、環境構築費用やセキュリティ対策費用を抑えることができます。
テレワークを導入するメリット
テレワークを導入することで、さまざまなメリットが得られます。
ここでは、得られるメリットを詳しく解説します。
業務の効率化
テレワークを導入することで、業務の効率化が期待できます。
なぜならオフィスワークからテレワークに切り替えることで、通勤時間などの移動時間を削減できるためです。
また、社員が自宅で仕事をすることで、自分にあった作業スペースでリラックスして仕事に取り組めます。
その結果、社員の仕事に対する集中力の向上も期待できます。
ペーパーレス化
テレワークにすることで、情報管理が紙ベースではなく、電子化にすることが可能です。
紙ベースの情報管理だと、印刷にかかるコストや、資料を保管する場所の確保など、様々なコストがかかります。
情報の電子化によって、ペーパーレス化が進み、資料などを扱う利便性も良くなるでしょう。
情報の確認を行うための検索性も高まるため、資料探しにかかる時間も短縮でき業務効率も向上します。
雇用環境の改善や優秀な人材の確保
テレワークが定着すると、勤務地と自宅の距離に制限がなくなるため、どこにいても働きたい企業で働くことが可能です。
そのため、勤務地の問題で応募を諦めざるを得なかった優秀な人材に対しても、働くきっかけを作ることができます。
また、何らかの事情でオフィスワークが難しくなってしまった社員に対しても、テレワークという選択肢が選べます。
休業や退職という選択肢ではなく、テレワークという形で雇用を続けることで、社員の離職防止に繋ぐことが可能です。
コストの削減
テレワークが定着することで、あらゆる面においてコストの削減が可能となります。
具体的には、社員の通勤代や移動にかかる交通費、オフィスの維持管理にかかる費用などがあげられます。
テレワーク導入には初期費用がかかりますが、テレワークを継続して続けることで、コストの削減が可能です。
テレワーク導入による課題の解決で働き方も変えられる
テレワークを導入するにあたって、業務の生産性や社員同士のコミュニケーション不足、環境構築のためにかかるコストなど、あらゆる面で課題や問題点が明らかになりました。
これらを解決するためには、セキュリティ対策の強化や円滑なコミュニケーションを可能とするツールの導入などが有効です。
テレワーク導入の際は、様々な手段を上手に活用して、課題をクリアしていきましょう。