ワークライフバランスの取り組み方は?企業と個人が出来る3つのこと
ワークライフバランスの重要性が理解できたところで、実際にどのように取り組めば良いのかという疑問が出てきます。
ここでは、企業や個人ができる取り組み方をそれぞれ3つずつ紹介します。
企業がワークライフバランスを整えるためにできる3つの取り組み
企業がワークライフバランスを整えるためにできることは、次の3つが挙げられます。
- 休暇制度を利用しやすい環境作り
- フレックスタイム・時短勤務の導入
- リモートワークの導入
企業ができる取り組み1.休暇制度を利用しやすい環境作り
企業では、育児・介護休業法によって定められている「育児休暇」や、「有給」「夏季冬季休暇」などさまざまな休暇が存在します。
しかし、実際には周囲もあまり取得しておらず休暇をとりにくい……と感じている人も多いのではないでしょうか。
せっかく制度があっても活用できなければ意味がなくなってしまいます。
休暇制度を利用しやすい職場を目指すために、企業ができる3つのポイントがあります。
・実態の把握
・体制作り
・社内の意識づけ
・人事評価制度の見直し
まずは、従業員の休暇の取得状況や業務の進め方、また個別に抱える事情などのヒヤリングをし、実態を把握します。
その実態を踏まえ、誰かが休んでもフォローができるような仕組みを作ることが重要です。
そして、経営トップ、管理職、従業員が休むことの重要性や長時間労働と業務効率との関係などを、同じように認識できるように教育します。
また、休暇を取得したことにより、評価が下がるなど、不利になるようなことがあっては良くありません。
そのため、短時間で質の高い仕事をしている従業員へは、きちんとした評価を与えるなど、評価制度についても見直しが必要です。
このような取り組みを地道にすることで、誰もが気兼ねなく休暇制度を利用しやすい環境作りにつながります。
企業が出来る取り組み2.フレックスタイム・時短勤務の導入
フレックスタイムとは、決められた総労働時間の範囲で、日々の労働時間を従業員が自分で決めることのできる制度です。
時短勤務とは、通常の勤務時間よりも短い勤務時間の勤務形態で働く制度。
フレックスタイムは、出勤・退勤の時間は従業員の自由な裁量で決められるメリットがあり、時短勤務は、勤務時間そのものが短縮できるメリットがあります。
いずれも従業員のライフスタイルの変化や、プライベートに合わせた柔軟な働き方を選択できる制度です。
企業が出来る取り組み3.リモートワークの導入
リモートワークとは、出社せずに仕事することを認める制度です。
自宅で仕事することもでき、従業員それぞれに合わせた働き方ができると近年注目されています。
新型コロナウイルス感染拡大の防止対策としても活用されている制度ですが、ワークライフバランスの面からも、導入を推進していくと良いでしょう。
ただし、社内から持ち出せるデータのルール決定や、データ漏洩などに対するセキュリティ対策の徹底も同時に大切になってきます。
場所や時間など、働き方の選択肢を増やすことにより、さまざまな事情を抱える人が無理なく仕事ができるようになるのです。
個人がワークライフバランスを整えるためにできる3つの取り組み
企業がワークライフバランスを整えるためにできることは、次の3つが挙げられます。
- 仕事の効率を上げる
- 仕事をする場所・時間を調整する
- 勤務形態を見直す
個人が出来る取り組み1.仕事の効率を上げる
仕事の効率を上げることで、必要のない残業を減らせ、労働時間の改善につながります。
業務を効率よくするために次の3つを実践してみましょう。
・不要な業務の見直し
・仕事の全体像を把握する
・計画を立て優先順位をつける
まずは、自分の担当する業務の現状を把握するところから始めましょう。
全体像が見えると、仕事の進め方の計画が立てやすくなり、優先順位を付けて取り組めるようになります。
把握、優先順位付けを習慣にすることで、行う順番を変更する、工程を減らすなどアイデアが浮かび、その結果業務が効率化されるのです。
また、前任者がやっていたからという理由でなんとなくしていた業務や、必要ではない資料を作ってしまうなど、本当に必要な作業かどうかを洗い出すことも有効です。
不要な業務を無くすことで本来やるべき仕事に集中でき、精度も上げられます。
個人が出来る取り組み2.仕事をする場所・時間を調整する
リモートワークなどの制度がある企業に勤めている場合は、積極的にその制度を活用してみましょう。
仕事をする場所・時間を変えることも、ライフワークバランスを取り組むうえで、個人が出来ることのひとつです。
例えば、育児・介護中の方で時間に制約がある場合でも、通勤時間が無くなることでその分仕事に時間を使えたり、お迎え等で仕事を一旦終了したり、自分の都合に合わせて働けます。
また、通勤時間がゼロになるだけでなく、満員電車によるストレスや体力消耗を回避でき、仕事への集中力アップにもつながります。
個人で出来る取り組み3.勤務形態を見直す
「フレックスタイム制」「短時間勤務」を取り入れるなど、勤務形態の見直しも個人で取り組めることのひとつです。
始業と終業時刻を決められるフレックスタイムは、その日のコンディションや予定などさまざまなことに柔軟に対応できます。
また、1日の労働時間を短くする短時間勤務は、育児や介護など家庭と仕事を両立しやすくなるでしょう。
今の自分のライフスタイルには、どのような働き方が合うのかをじっくり考えることが大切です。
このように、ワークライフバランスを実現するための取り組みは、企業と個人どちらもが制度を見直したりメリットを理解したり、共通の認識を持ったりすることが重要といえます。
ワークライフバランスに取り組むメリットとは?
いざワークライフバランスを取り組むと決めても、前例がないことであれば、根付いている企業文化を変えることへの難しさや、具体的な導入方法が分からないなど不安はつきもの。
そこで、企業側と個人(働く側)にとってのメリットを理解することで、不安よりも得られる期待の大きさに気付ける可能性があります。
企業側のメリット4つ
企業がワークライフバランスを取り入れることのメリットは、大きく次の4つが挙げられます。
・従業員の能力向上
・生産性の向上
・優秀な人材の確保
・企業イメージの向上
ワークライフバランスに真剣に取り組むことで、従業員の生活の質が向上が見込めます。
その結果、仕事に対するモチベーションアップにつながるのです。
また、生活が充実し、高い志を持って仕事に取り組めるようになれば、心身の健康が維持され、仕事への意欲も上がります。
そうすれば、自ずと仕事の効率化が図れ、生産性の向上へとつながっていくのです。
さらに、従業員にとって働きやすい環境が整えば、離職率を下げる効果が期待できるだけでなく、就職活動中の学生や転職者からの評価が上がり優秀な人材を確保にもつながります。
最終的に、従業員を大切にしている企業イメージとしてポジティブな印象を与えることができます。
働く側のメリット4つ
働く側にも次の4つのメリットがあります。
・心身の健康維持
・家族との時間の確保
・地域活動への参加
・自己啓発
残業のしすぎで体力を消耗したり、精神的に追い詰められたりし、離職や休職を余儀なくされるケースは大きな問題です。
ワークライフバランスの実現により、プライベートの時間が充実することで、気持にもゆとりが生まれ、心身共に健康でいられるようになります。
また、家族や地域との関わりを持つことで、リフレッシュにもなりますし、視野が広がり仕事に対するモチベーションが上がることに期待ができます。
さらに、家族との時間が増えることで会話も生まれ、育児や介護について話し合いをすることもできます。
一人で抱えることなく、役割分担が可能になれば過度な負担を感じることなく家庭と仕事の両立が叶います。
働き方や勤務形態を見直すことにより、個人の時間が増えれば、興味のあったことやスキルアップに時間を使うことも可能です。
その結果、仕事でも活かせる能力が身に付いたり、仕事とプライベートのメリハリが付き集中力が上がったりと、思わぬ成果につながることもあり得ます。
ワークライフバランスによって企業も個人も幸せに
近年注目されているワークライフバランス。
企業にとっても働く人にとっても、たくさんのメリットがあります。
また、社会問題となっている少子高齢化や労働時間の増加による健康被害などに対応するためにも、重要であることが分かりますね。
ワークライフバランスに取り組むためには、企業や個人がそれぞれ出来ることを考え、実践し、継続して定着させていくことも大切です。
真剣に取り組むことで、企業にとっても個人にとっても幸せと感じる環境つくりは実現できます。
この機会に一度ワークライフバランスについて自分事として考えてみてはいかがでしょうか。