2022.10.07

大人女子におすすめの大人向けライトノベル・ライト文芸をご紹介!

中高生の娯楽というイメージが強いライトノベル。近年は大人向けのライトノベルとして、ライト文芸の新しいレーベルが登場しています。これまでのラノベに比べて、深くておもしろい魅力的な作品が多く登場。ここでは大人向けレーベルの種類やおすすめの文庫本を紹介します。

ライトノベルとは?大人向けレーベルの種類


活字の本に馴染みがない人は「ライトノベルって何?」と疑問を持つかもしれません。
ライトノベルとは、読みやすい文体と可愛い表紙イラストを使った、誰でも手が出しやすい小説のこと。

「ラノベ」という略称で呼ばれることも多く、一般の書店でも取り扱われています。
多くの作品が非現実的な世界のストーリーとなっており、まるでアニメや漫画を読むように、ライトな感覚で読書を楽しめるところが最大の特徴です。

ライトノベルというと、中高生など若い世代向けのエンタメ小説というイメージが強いかもしれません。
しかし最近では、歴史やミステリーを題材にしたものや、現実世界が話の中心となった作品もあり、大人でもストーリーの読み応えがある作品が多く出版されています。

また、一般的な小説よりもキャラクターの個性が強く、話のテンポも早いため、普段小説を読まない人でもスラスラ文字を追うことができるでしょう。

まずはどのような出版社がライトノベルを販売しているのか、各社の特徴とともに紹介していきます。
これから紹介する出版社を書店で見かけたら、気になる作品がないかぜひチェックしてみてください。

富士見L文庫

一般向けの文芸小説などを広く扱うKADOKAWAから派生した、ライトノベル専門のレーベルです。

富士見L文庫の特徴は、大人でもライトノベルを楽しめるよう、キャラクターの魅力を引き出したり、心理描写に力を入れたりといった工夫をしていること。

表示のデザインもシックなものが多く、大人女子でも手に取りやすいでしょう。

集英社オレンジ文庫

集英社オレンジ文庫ではミステリーを中心に、あらゆるジャンルのライトノベルを扱っています。

ミステリーとはいっても、江戸川乱歩やアガサ・クリスティーなどのように古くから活躍する作家たちのような、本格的すぎる内容ではありません。

あくまで「ライト」な作品が多く、小説を読み慣れていない人でも楽しみやすい話が揃っています。

メディアワークス文庫

富士見L文庫と同じKADOKAWAによるライトノベルレーベルです。

メディアワークス文庫から出版されたライトノベルがマンガや映画になったり、逆に映画を元にしたライトノベルが販売されたりと、メディアをまたにかけて作品への人気が集まっています。

ライトノベルを初めて読む人は、メディアワークス文庫の棚を見てみるとお気に入りの1冊が見つかるはずです。

新潮文庫nex


新潮文庫nexMFブックスでは、いわゆるラノベ作家に限らず、一般向けの文芸小説を書いている著名な作家も参加しているレーベル。

例えば文庫が創刊する際には、神永学や朝井リョウなどが作品を発表しました。

また、新潮社の他の文庫から発売された小説の新装版も販売しており、ライトノベル以外にも様々な名作と出会えることが特徴です。

MFブックス

MFブックスは「ザ・ライトノベル」ともいえる王道ストーリーの作品を多く出版。

異世界に転生して職業に就くものや、RPGの舞台のような世界の冒険ストーリーなど、MFブックスを押さえておけばライトノベルの流行りを知れるでしょう。

ゲームのようなファンタジーな世界観が好きな方は、ぜひMFブックスのライトノベルをチェックしてみてください。

μNOVEL(ミューノベル)

30〜40代のまさに大人をターゲットにしたレーベルが、μNOVEL(ミューノベル)です。

過去に人気を集めた作品を、イラストレーターの書き下ろし表紙と組み合わせた新装版として販売。
μNOVELなら、以前ハマっていた懐かしい作品と、また出会えるかもしれません。

2016年を最後に新刊は刊行されていませんが、気になる本があれば手に取ってみてはいかがでしょうか。

大人女子でもハマるライトノベルをレーベルごとに紹介!


ここからは、大人女子にもオススメなライトノベル作品をご紹介します。

どのようなライトノベルから読み始めればいいか分からない人や、自分に合った内容か判断してから買いたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

富士見L文庫でおすすめの作品3選

富士見L文庫では学生以外を主人公にした作品が多く、大人女子でも共感できることがポイント。
おすすめ作品は次の3つです。

『わたしの幸せな結婚』顎木 あくみ (著)

継母と義母妹に使用人のように扱われ、一家で邪魔者となった主人公の美世は、工藤家へ嫁ぐことに。
冷酷無慈悲と噂され、これまで何度も縁談を断ってきた工藤。

しかし、美世の飾らない姿に心惹かれ、2人の距離は縮まっていきます。
「和風シンデレラ」ともいえるような不幸せな境遇の美世と、イケメンだけど不器用な工藤の変化に、キュンキュンすること間違いなしです。

『かくりよの宿飯 あやかしお宿に嫁入りします。』友麻碧(著)

富士見L文庫で初めてアニメ化された作品です。
亡くなった祖父によって、借金返済の代わりに自分を鬼に嫁入りさせる約束をされていたことが発覚。

あやかしが住む世界である「かくりよ」に連れ去られます。
しかし婚姻に納得ができない葵は、借金を返すために小料理屋のスタートを決意して……。

まずは有名な作品からチャレンジしたいという人におすすめです。

『紅霞後宮物語』雪村花菜(著)

33歳アラサー軍人の小玉が主人公の後宮ファンタジーです。
小玉は、元部下の頼みである日突然皇后の座に。

竹を割ったようなサバサバした性格の小玉が、ドロドロとした嫉妬や欲望にまみれる「紅霞宮」を収めていきます。
中国風の時代ものがお好きな人には、読み応えバッチリの内容です。

集英社オレンジ文庫でおすすめの作品3選

集英社オレンジ文庫からは、次の3作品を紹介していきます。
ライトノベルでありがちな異世界や能力系ではなく、集英社オレンジ文庫なら爽やかな青春ものも楽しめますよ。

『宝石商リチャード氏の謎鑑定』辻村七子(著)

大人女子向けライトノベルの中でも、アニメ化やマンガ化で注目を集める人気作品です。
宝石商のリチャードと大学生の中田正義が、宝石にまつわる謎やメッセージを解明していくストーリー。

宝石に秘められた人間ドラマや、表紙にも描かれたリチャード氏の美貌も注目ポイントです。

『消えた初恋』宮田光(著)

別冊マーガレットの人気作品でもあり、実写ドラマも放送された『消えた初恋』のライトノベルです。
主人公の青木は、片想い中の女の子が消しゴムに「イダくん♡」と書いているのを発見。

「自分に振り向いてくれることはないのか……」と落ち込んでいると、井田本人に消しゴムを見られてしまいます。
女の子の気持ちがバレてはまずいと思った青木は、とっさに自分の消しゴムであるとごまかしました。

井田は青木から告白されたと勘違いしてしまい、ドタバタのラブコメディーに発展します。
少しBL風で、面白おかしく過ごした学生時代を思い出せる作品です。

『時をかける眼鏡』椹野道流(著)

集英社オレンジ文庫が創刊された際から続く人気シリーズです。
元監察医という作家の経歴で、リアルな医学系ミステリーを書いています。

医学生の西條は、突然過去へとタイムスリップ。
訳もわからないまま殺人事件に居合せ、その国の皇太子ロデリックの無実を証明していきます。

医学を題材にした作品ですが、ライトノベル特有のわかりやすい切り口で、深い知識がなくてもスラスラと読み進められるはずです。

メディアワークス文庫でおすすめの作品3選

メディアワークス文庫は、学生時代を思い出させる青春ものから、昔見ていた大人女子も多いドラマ化作品まで取り揃えています。

おすすめ作品をそれぞれチェックしていきましょう。

『君と過ごした透明な時間』丸井とまと(著)

『君と過ごした透明な時間』は、小説投稿サイト「魔法のiらんど」で大賞を獲得した注目作品。
女子高生の主人公は、事故に遭って入院しているはずの片思い相手を学校内で見かけます。

見かけたのは、幽体離脱した片思い相手本人だったのです。
そして2人は協力して事故の原因や記憶の断片を探っていきます。

2人が過ごす夏の1か月間の、成長を感じられる青春ライトノベルです。

『ビブリア古書堂の事件手帖』三上延(著)

累計700万部以上も発行され、ドラマ化されたこともある名シリーズです。
2021年現在も1年間に1冊程度のペースで新刊が発売され『ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜』からは第2部がスタートしました。

北鎌倉の古書店である「ビブリア古書堂」が物語の舞台。
店主である篠川は、古書から人間関係などのあらゆることを読み解いていきます。

夏目漱石や太宰治といった歴代の名作家たちの本も作中に登場し、文芸好きにはたまらないストーリーでしょう。

『座敷童子の代理人』仁科 裕貴(著)

妖怪小説家である主人公は、妖怪がいると噂の旅館を訪問。
小説のネタが浮かぶかと思いきや、なぜか座敷童子の代理として、妖怪のお悩み相談に乗ることに……。

ライトノベルらしからぬ、旅館を舞台にしたノスタルジーな雰囲気が特徴。
ぬらりひょんや河童など誰もが知る有名妖怪たちも登場し、時にはほっこり時にはホロリと感情を動かされる作品です。

妖怪といっても不気味で恐ろしいイメージはなく、人間味あふれたキャラクターばかりで、読んでいて明るい気持ちになれるでしょう。

新潮文庫nexでおすすめの作品3選

新潮文庫nexには、高校の部活やバイト先など、ライトノベルレーベルでありながら現実味のある作品が多く揃っています。

新潮文庫nexのおすすめ作品を紹介していきます。

『天久鷹央の推理カルテ』知念実希人(著)

「診断困難」としてあらゆる医師が匙を投げた患者を救う、天才女医が主人公の医療系ミステリーです。
原因不明の症状や治療が難しいとされる患者と向き合い、時には本格的な事件まで解決していきます。

医師でもある作家が内容をしっかりと作り込んでおり、読み応えのあるライトノベルです。
医療系ドラマが好きという大人女子は、ライトノベルでもきっとハマる題材ですよ。

『君と漕ぐ―ながとろ高校カヌー部―』武田綾乃(著)

ながとろ高校カヌー部を舞台にした、青春部活小説です。
先輩部員が2人しかいない部で、カヌー初心者の主人公が奮闘する様子を描いています。

カヌー部というと珍しく感じますが、部員同士のすれ違いや思いのぶつけ合いは、大人女子たちが経験してきた部活の経験と変わりません。
カヌー部に置き換わっても、当時の自分と重ね合わせるとグッとくるのもがあるでしょう。

『コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―』町田そのこ(著)

九州にあるコンビニチェーン店の「テンダネス門司港こがね村店」を舞台にしたお仕事系ストーリー。
フェロモンで老若男女を惹きつける店長や、店長を慕う常連客を観察するバイト君目線のライトノベルです。

個性豊かな常連客たちの悩みには、大人女子も思わず「うんうん」と共感してしまうはず。
コンビニのバイト経験があると、より楽しく読める作品です。

MFブックスでおすすめの作品3選

MFブックスは、ライトノベルの王道ストーリーである「なろう系」関連の作品を多く出版。
こちらでは、アニメ化もされている人気の3作品を紹介していきます。

『無職転生』理不尽な孫の手(著)

『無職転生』は、小説投稿サイト「小説家になろう」ではランキングトップの常連で、アニメでも絶大な人気を集めているライトノベルです。
アニメが好きな人は、放送を見たことはなくても名前くらいは聞いたことがあるかもしれません。

アラサーで職歴も住所もないニートがトラックに轢かれ、異世界で赤ちゃんに生まれ変わってもう一度人生をやり直すストーリーです。
とりあえず人気作品を読んでみたいという方は『無職転生』からぜひスタートしてみてください。

『八男って、それはないでしょう!』Y.A(著)

会社勤めをしていた主人公がある朝起きたら、異世界に転生していたというスタート。
貴族の8番目の息子として転生するも、貧乏な実家から人生を逆転すべく修行を始めます。

魔法や冒険など、ライトノベルらしい世界観を堪能できる作品です。
中世の貴族社会や王都といった、ファンタジーな雰囲気も楽しめます。

『フェアリーテイル・クロニクル 〜空気読まない異世界ライフ〜』埴輪星人(著)

作品内で人気のあるゲーム「フェアリーテイル・クロニクル」によく似た世界に転生することから物語が始まります。
転生先の異世界でクラスメイトと出会い、力を合わせてもの作りをしたり自給自足したり。

元の世界に帰ることよりも、異世界で生活を充実させることに力を入れてしまう、スローライフなファンタジーです。

異世界転生系小説というと男性向けなイメージも持たれがちですが、料理やDIYなど、大人女子でも楽しめる内容がたくさんある作品です。

μNOVEL(ミューノベル)でおすすめの作品3選

30〜40代をターゲットにしたレーベルということで、μNOVEL(ミューノベル)にはやや大人向けの難しいストーリーが多くあります。

おすすめの作品は次の2つです。

『イカロスの誕生日』小川一水(著)

わずかな割合で翼を持った人間(イカロス)が生まれる世界を舞台にした、SF系ライトノベル。
イカロスである主人公は、奇跡的に大学に合格。

しかし、イカロスに対する監視が強まる法案が可決され、大学への合格は無効になってしまいます。
イカロスへの差別や人間との対決が描かれる、社会派の作品となっています。

『貴族(バンパイア)泥棒スティール 』菊地秀行(著)

核戦争後が起こる遠い未来を描いた作品。
吸血鬼が覇権を握っていたものの、原因不明の種の衰退が進み、人間たちが反旗をひるがえします。

お尋ね者の泥棒吸血鬼スティールが主人公のアクション系ストーリーです。

読みやすいライトノベルで気軽に小説を楽しもう


大人女子でも楽しめるライトノベルをご紹介しました。
「ライトノベルは文学じゃない」という意見もありますが、読み終わったあと思わず余韻に浸ってしまうような深いストーリーの作品も数多く存在しています。

比較的読みやすいライトノベルで、これまで読書から遠ざかっていた人も趣味の時間を楽しんでみてください。

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ごとうゆき(ライター)
ごとうゆき

恋や仕事に悩む女性を応援するマルチライター

web制作会社に勤務し、デザイナー兼ライター業務を担当。女性らしいデザインや文章を学ぶ。認定心理士の資格を所持しており、心理分析をもとにした恋愛記事が得意。現在はフリーライターとして恋愛、キャリア、エンタメなどの情報を発信中。恋に悩む女性の背中を押せるよう、心を込めて記事執筆しています。

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