ファッションビジネス能力検定とは
ファッションビジネス能力検定とは、その名の通りファッション業界でのマーケティングや生産、企画から流通にいたるまでの幅広い知識を有することを証明する検定です。
一般にはあまり知られていない資格ですが、ファッション業界では有名な資格であり、ファッション関係の自分の能力や知識を証明するのに有効です。
ファッションビジネス能力検定の概要
まずファッションビジネス能力検定の概要についてです。
ファッションビジネス能力検定は1級~3級まであり、受験資格はとくにありません。
1級はもちろん、2級も専門的な知識が求められるので、まずは3級から順番に受験することをおすすめします。
以下、各級についての詳細をまとめました
※検定内容については、ファッションビジネス能力検定を主催する一般財団法人日本ファッション教育振興協会(外部リンク)のHPを参考および引用しています。
ファッションビジネス能力検定3級
ファッションビジネス能力検定3級は、ファッションビジネスに関する基本的な専門知識をもってるかが問われます。
ファッションビジネスに関する教育を1年ほど学んだレベルです。
一般的なビジネスやマーケティング知識を持った人であれば決して難しくはない試験ですが、ファッションに関する知識も必要になるので、公式テキストで勉強する必要があります。
試験範囲と構成
3級の試験範囲は2科目で構成されています。
「ファッションビジネス知識」180問90分
- ファッションビジネスの概要
- ファッション消費と消費者行動
- アパレル産業と小売産業
- ファッションマーケティング
- ファッションマーチャンダイジング
- ファッション流通
- ビジネス基礎知識
「ファッション造形知識」100問60分
- デザインの定義と特性
- ファッションコーディネーション
- ファッション商品知識
- 品質表示
受験日
年2回
試験方式
マークシート
合格基準・合格率
ファッションビジネス知識で60%、ファッション造形知識で70%の得点が目安となります。
合格率は例年約70%ほどです。
ファッションビジネス能力検定2級
ファッションビジネス能力検定3級は、ファッションビジネスに関する専門的な知識をもってるかが問われます。
ファッションビジネスに関する教育を2年ほど学んだレベルです。
3級よりもさらに深いファッションビジネスに対する理解が求められるので、公式テキストなどでしっかり勉強する必要があります。
試験範囲と構成
2級も3級と同じく試験範囲は2科目で構成されています。
「ファッションビジネス知識」170問90分
- ファッションビジネスの特性
- ファッション生活・ファッション消費
- ファッション産業構造
- ファッションマーケティング
- ファッションマーチャンダイジング
- アパレル生産と物流
- ファッション流通とコミュニケーション
- キャリアプラン
- ビジネス基礎知識
「ファッション造形知識」100問60分
- ファッション文化とデザイン文化
- ファッションコーディネート
- ファッション商品知識
- ファッションデザイン
- ファッションエンジニアリング
- 補足用語集
受験日
年2回
試験方式
マークシート
合格基準・合格率
ファッションビジネス知識で60%、ファッション造形知識で70%の得点が目安となります。
合格率は例年約50%ほどです。
ファッションビジネス能力検定1級
ファッションビジネス能力検定1級は、ファッションビジネスに関する専門教育を2年以上履修し、アパレルやリテール企業で実務経験を5~6年ほど積んだレベルです。
合格には高度な専門知識が必要とされるだけではなく、科目数が多く試験時間がかなりタイトなので、公式テキストでの勉強はもちろん、過去問などで対策をたてて試験にのぞむ必要があります。
試験範囲と構成
1級の試験範囲は5科目で構成されています。
全科目60分です。
「マーケティング戦略」
- マーケティング理論、マーケティングリサーチなど
- ファッションメーカーやインポーターのマーケティング戦略など
- ファッション専門店のマーケティング戦略など
- 大型店やSC、無店舗販売企業のマーケティング戦略など
- 新業態開発、業態革新、全社的マーケティング、グローバルマーケティングなど
「マーチャンダイジング戦略」
- ファッションMD理論、ファッション情報の収集・分析、
- 新ブランドのMD、既存ブランドのMD再構築など
- ファッションメーカーブランドのMD、デザイン戦略、インポーターのMD戦略など
- アパレルメーカーの素材調達・生産管理、テキスタイル企業のMDなど
- 小売店舗のMD・バイイング、無店舗販売企業のMDなど
- VMD、ファッション店舗知識、商空間開発、ゾーニング、ディスプレイ知識など
「流通戦略」
- アパレル企業の流通戦略、アパレル営業活動など
- 出店戦略、多店舗化戦略など
- アパレル企業、ファッションリテーラーのプロモーション戦略など
- 製造業、アパレル企業、小売業のロジスティクス戦略、SCMなど
- ネット販売企業の流通戦略、異業種ミックスの流通など
「マネジメント知識」
- 会計、財務など
- 企業経営の基礎知識、オペレーション戦略、予算、知的財産権など
- 人事管理、労務管理など
- 情報管理、IT活用、発想法など
- 事業計画(ショップ事業計画、ブランド事業計画)など
「ファッションビジネス知識」
- 日本経済とファッション産業、ファッション消費など
- ファッション産業構造、ファッションビジネスの変遷など
- ファッション商品知識、ファッションスタイリング知識など
- 素材知識、色彩知識、柄の知識、生産技術知識、サイズ知識など
- ファッション史(レディス、メンズ)、ファッションとデザインの文化など
受験日
年1回
試験方式
記述式及び選択式。
合格基準
全科目60%あたりの得点を目安に合格。
全科目合格して、1級合格となります。
合格率は近年公表されていませんが、約20%ほどと言われています。
ファッションビジネス能力検定取得方法
ファッションビジネス能力検定は、ファッション業界でのキャリアアップや就職に有利となる資格ですが、しっかりと対策をしないと取得はできません。
ファッションビジネス能力検定を取得する方法は以下の通りです。
独学でファッションビジネス能力検定を取得する
まずは独学でのファッションビジネス能力検定の取得が考えられます。
3級は基礎的な知識なので、公式テキストをしっかり読み込み勉強すれば大丈夫です。
2級は3級をさらに掘り下げた内容になりますが、それでも公式テキストや協会発行の問題集をしっかりとやりこめば十分合格レベルに達することができるでしょう。
問題は1級です。
ファッションの知識はもちろんですが、流通やマネジメント、そしてマーケティングといった経営知識が必要になってくるので、3級・2級とは難易度が違います。
公式テキストや問題集のやりこみはもちろんですが、科目数も多いので、受験を決めたのであれば早めに対策をたて計画的に勉強していく必要があります。
通学でファッションビジネス能力検定を取得する
独学が苦手な人、特に1級を受験するけれど自分で計画的に勉強をする自信がない人は、通学をおすすめします。
通学なら学校のカリキュラムにしたがって勉強すればよいので、合格までの道筋を立てやすいです。
※残念ながらファッションビジネス能力検定の通信講座はありません。
ファッションビジネス能力検定を取得するメリット
ファッションビジネス能力検定を取得すると、どんなメリットがあるのでしょうか?
主に3つのメリットがあります。
ファッション業界への就職・キャリアアップに役立つ
ファッションビジネス能力検定をとると、百貨店やメーカー直営店での販売員、バイヤーやアパレルブランドの経営部門、ブランド立ち上げや商品企画など、ファッションに関わる幅広い分野で就職やキャリアアップに役立ちます。
ファッションビジネスに関する知識があると証明できる
ファッション業界での就職を目指した時、あるいはキャリアアップを目指した時、「私にはファッション関係のビジネス知識があります」といったところで、あまり説得力はありませんよね。
ファッションビジネス能力検定を持っていれば、実際にどの程度の知識をもっているかが相手へ伝わりやすく信頼してもらえます。
実務で役に立つ
ファッションビジネス能力検定の内容は、ファッションビジネス知識はもちろん、造形に関すること、マーケティング戦略やマネジメント、流通・マーチャンダイジング戦略まで多岐にわたり、実務に密接に結びついているものがほとんどです。
資格取得のためだけではなく、実際に使える知識が身につきます。
流行りすたり・状況の変化が早いファッション業界は、「好き」だけでは続けられませんしキャリアの構築も期待出来ません。
ファッションビジネス能力検定で論理を身につけることで、現場で活躍するための基礎を作ることができます。
ファッションビジネス能力検定の現状と将来
ファッション業界で有効なファッションビジネス能力検定ですが、現状や将来的な有効度はどうなのでしょうか?
ファッションビジネス能力検定が向いている人
現状ファッションビジネス能力検定は、ファッション販売能力検定などとならび、ファッション業界の有力な資格の1つです。
ファッションに興味がある人はもちろん、就職を考えている人や、ファッション業界でキャリアアップをはかりたい人、自分でブランドを立ち上げたい人にも役立ちます。
ファッション業界での活躍を夢見る人におすすめです。
ファッションビジネス能力検定の年収や給料
ファッションビジネス能力検定試験は、ファッションに関するビジネス能力を示す資格であり、それがなければ開業できない、就職できないという資格ではありません。
資格を持っている人の立場も販売員やバイヤー、店舗マネジャーからファッション企業の企画などさまざまですので一概には言えません。
その立場により年収・給料はさまざまです。
ファッションビジネス能力検定の将来性
ファッション業界は競争が激しく、日本のみならず世界と競い合う必要があります。
将来的には競争はさらに激化することが予想され、「好き」や「興味がある」ことはもちろん大事なことですが、それだけでは続けていくのは難しいです。
ファッションビジネス能力検定を通じてファッションに関する知識の基本を作る事で、実務も論理的に行うことができるようになります。
ファッションビジネス能力検定は将来のためにも、とっておいたほうが良い資格といえるでしょう。
ファッションビジネス能力検定まとめ
ファッションビジネス能力検定は、ファッション業界での知識・能力を証明する有力な資格です。
ファッション業界に就職したい、ファッション業界でキャリアアップを狙いたい人は、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか?