コロナと現在の働き方
新型コロナウイルスの流行により、働き方が大きく変化しつつあります。
まずは現在の状況をおさらいしてみましょう!
テレワークの推進
オフィス内の出勤者を減らしたり、通勤電車の混雑を緩和したりと、人の接触を減らせるテレワーク。
テレワークとは、「Tel(離れて)」と「Work(仕事)」を組み合わせた言葉です。
本来のオフィスから離れ、ICT技術を使って仕事をすることを指します。
- 家で行う「在宅勤務」
- 移動中やカフェなどで行う「モバイル勤務」
- コワーキングスペースなどを活用する「サテライトオフィス勤務」
テレワークには上記の3つがありますが、コロナ禍では在宅勤務のイメージが強いという方もいるかもしれません。
時差通勤
通勤電車の混雑を緩和するため、時差通勤が推進されています。
また、曜日や時間帯によって運賃が変わる「ダイナミックプライシング」の制度も検討されています。
乗客が少ない時には運賃を安くして、混雑を緩和する狙いがあります。
ビジネスツールの普及
テレワークの普及に伴い、ビジネスツールの需要が高まりました。
Web会議やチャットなどのコミュニケーションツールは、遠隔で仕事を行う手助けをしてくれます。
それにより、ICTスキルの習得やセキュリティ強化の必要性がよく話題に登るようになりました。
デジタルトランスフォーメーションとは?
「データや技術を利用して、業務・組織・企業文化などをよりよいものにしていく」という意味合いがあります。
デジタルトランスフォーメーションは、DX(Digital Transformation)と略します。
「アフターコロナ」「ニューノーマル」など、コロナ禍で注目される言葉のうちのひとつです。
デジタルトランスフォーメーションという言葉は新型コロナウイルスが流行する前からありましたが、コロナ禍でより注目されるようになりました。
急速に変化していくと言われる現代。
企業が生産性を高め生き残っていくためには、重要なポイントになるでしょう。
アフターコロナと働き方改革の関係は?
働き方改革は、「多様な働き方を選択できる社会」を目指す取り組みです。
労働時間の削減や、非正規社員の待遇の見直しなどが話題になりました。
例えば、コロナ禍で広まったテレワークとは、もともと働き方改革のひとつとして推奨されていました。
新型コロナウイルスの影響と働き方改革に関連性が生まれています。
順番にご紹介します!
テレワークの普及促進
テレワークは時間や場所に縛られない柔軟な働き方として、コロナ流行以前から働き方改革のひとつとして促進されていました。
新型コロナウイルスの感染対策だけではなく、下記のようなメリットもあると言われています。
- プライベートの時間が増える
- 作業効率のアップ
- 通勤費やオフィス維持費の削減
- 企業のブランドイメージの向上
このように、テレワークには従業員にとっても企業にとってもメリットがあると言えるでしょう。
出典:厚生労働省(外部リンク)
副業・兼業の普及促進
人生100年と呼ばれる現代です。
「自分の希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要」とされています。
そこで、副業・兼業といった多様な働き方への期待が高まっています。
厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、下記のようなメリットがあると述べています。
- 別の仕事をすることでスキルや経験ができる
- 所得が増加する
- やりたいことに挑戦できる
メリットばかりではありません。
下記の点に注意しなければならないと言われています。
- 働く時間が増えるため、自身で時間管理や健康管理が必要になる
- すでに行っている仕事に支障が生じないようにしなければならない
出典:厚生労働省(外部リンク)
新型コロナウイルスをきっかけに、働き方やキャリアについて考えるきっかけになったという方も多いのではないでしょうか。
また、コロナ禍による雇用の不安から、副業・兼業を始めた方もいるかもしれません。
フレックスタイム制の見直し
始業時間や終業時間を決められる制度です。
働き方改革ではより柔軟な働き方を目指すため、フレックスタイム制についての法律の見直しが行われています。
フレックスタイム制には、下記のようなメリットがあります。
- 通勤ラッシュを避けることができる
- プライベートの用事にも対応できる
- 働きやすさアップでひとつの職場に長く在籍できる可能性も
「定時」という概念が古いと言われる時代が来るかもしれませんね!
出典:厚生労働省(外部リンク)
アフターコロナにおける働き方の変化とは
アフターコロナはもちろん、働き方改革の推進で、今後も働き方が変化していくでしょう。
新しい制度やオフィスの変化など、4つのポイントからご紹介します。
ジョブ型雇用
ジョブ型雇用とは、「業務に人を割り当てる」雇用を指します。
欧米で主流の雇用形態です。
日本では「人に業務を割り当てる」という終身雇用制や新卒一括採用が成り立たなくなってきました。
そのため、新たな雇用形態に注目が集まっています。
また、新型コロナウイルスの影響で、ジョブ型雇用という言葉をさらによく聞くようになりました。
テレワークが広まり、業務を明確に分担する必要が出てきたためです。
自分の仕事が明確に決まっているなら、別の場所にいる社員の動きを必要以上にチェックしなくてもいいので、気が楽かもしれませんね!
ジョブ型雇用のメリットとデメリットは、下記の通りです。
ジョブ型雇用のメリット
- 定められた仕事だけ行えばOK
- 高いスキルがあれば高待遇が狙える
- 業務内容や勤務地・勤務時間などがわかった上で応募できる
ジョブ型雇用のデメリット
- スキルを自分で磨く必要がある
- その仕事がなくなっても、社内で異動できない可能性も……
ちなみに「メンバーシップ型雇用」って?
「人に業務を割り当てる」という考え方です。
日本の新卒採用で多く見られます。
人を採用してからさまざまな部門を経験させ、育成するという取り組みが一般的です。
従来の「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へと移行すべきという考えが広まっています。
週休3日制度
新型コロナウイルス対策のひとつとして、「週休3日制の導入」も挙げられています。
出社する社員の割合を減らし、交通機関の混雑を和らげるという目的があります。
また、働きやすさや生産性の向上の観点からも、週休3日制への期待が高まっています。
週休3日制度のメリット
- ワークライフバランスの向上
- 生産性の向上
- 感染症対策
週休3日制度のデメリット
- 給料が減る可能性がある
- 「1日10時間×4日間」の長時間労働にするという企業も?
- 社内や取引先とのやりとりがスムーズにいかなくなる可能性がある
オフィスのあり方の変化
オフィスの意味が変化していく可能性もあります。
テレワークが広まり、オフィスは「作業する場所」から「必要な時に行く場所」になりました。
大事な時だけ集まれたり、必要な物品を保管できたりすれば問題ないという場合もあるでしょう。
オフィスを手放したり、賃料の安い手狭なオフィスに移転したりする企業が出てくるかもしれません。
出勤の意味の変化
前述の通りオフィスのあり方が変化していくと、出勤の意味合いも変化するかもしれません。
「なんとなく出勤」ではなく、毎回の出勤に正当な意味が求められる可能性があります。
他の社員とコミュニケーションをとり、関係性を深める時にはオフィス。
ひとりで集中したい時は自宅。
そのように、出勤する意味や、作業に適した環境を自ら考えることが求められるでしょう。
海外のテレワーク事情は?
新型コロナウイルスでテレワーク導入が加速したのは、海外も同じです。
日本と同じく、「元々テレワークを普及させる取り組みをしていたけどうまくいかず、コロナ禍で結果的に普及」という国も!
欧米4カ国のテレワーク事情をご紹介します。
アメリカ
アメリカでは、2010年の時点で「テレワーク強化法」が制定されています。
テレワークも高い水準で導入されており、国全体で推進されています。
2020年の調査では、なんと約5割の労働者が在宅勤務を行なった時期があるという調査も。
今後も継続して普及させる動きが広がっています。
フランス
日本と同様に、「働き方改革」が進められているフランス。
テレワークの導入率は高いとは言えないものの、新型コロナウイルスの影響もあり今後も広まっていくでしょう。
イギリス
イギリスでは以前から、多くの企業が「フレキシブルな作業環境」の方針を掲げていました。
新型コロナウイルス流行後は、日本と同じく「Zoom」「Slack」などのシステムが多くの企業で導入されました。
また、イギリスでは元々「週の半分を首都圏ですごし、残りは田舎ですごす」といった働き方が珍しくありませんでした。
テレワークがさらに定着すれば、首都圏の密度が緩和されたり、地方での雇用拡大などの効果も見込めるとされています。
ドイツ
テレワークを可能にするため、コロナ禍以前からICT環境を整える動きがありました。
しかし、日本と似て「仕事はオフィスでするべき」という考え方があり、テレワークはなかなか普及しませんでした。
かつては「テレワーク小国」と言われていたほどです。
コロナ禍の中で、その雰囲気が一転。
社員を守るため、テレワークが広まります。
すでに準備が整っていた分、テレワークへの移行がスムーズだったと言われています。
アフターコロナの社会に取り残されないために必要な力は?
アフターコロナで働き方が変われば、社会人として必要な力も変化するのではないでしょうか。
これからは、社会の変化に対応しながらも、環境や考え方を自分自身で改善する力が求められます。
また、会社に頼らずに、必要なことを自主的に学ぶ姿勢も必要になります。
順番に見ていきましょう!
環境に適応できる力
テレワークの普及をきっかけに、zoomなどのWeb会議ツールや、Chatworkをはじめとするコミュニケーションツールが浸透しました。
これらのツールを使えるかどうかで、アフターコロナにおける働きやすさも左右されます。
今後も新たなビジネスツールが出てくるでしょう。
その都度、使い方を学び、慣れることができるかどうかは、重要なポイントになるのではないでしょうか。
また、オフィス環境や雇用形態など、今後も多様な変化が考えられます。
それらの変化に飲み込まれず、さまざまな環境について行ける人材が重宝されるでしょう。
自己管理できる力
テレワークで他の社員の目がなくても、自分で集中を保っていなくてはなりません。
オフィスに出勤しなくていいからといって、始業時間のギリギリまで寝ていたり、昼食後に眠くなってウトウトしたり……。
次第にゆるみが出てくるという方もいるでしょう。
運動不足の解消や、自宅内での作業スペースの確保など、必要なことはさまざま。
さらに、週休3日制度のある企業で働けば、新たな生活リズムの構築なども必要でしょう。
周りの環境に合わせて自己管理をしていく力が、今後ますます必要になります。
自主的に学ぶ力
終身雇用の時代が終わり、個人としてのスキルが試される時代です。
「今自分は何をすべきなんだろう?」「ここから学べることはなんだろう?」など、考えながら学ぶ人が重宝されるようになります。
読書やオンラインセミナーなど、学ぶ方法はさまざま。
気になったことを調べてみるクセをつけてもいいでしょう。
小さな関心や興味が育ち、いずれ何かに繫がるかもしれません。
自分のノートにまとめたり、内容をSNSで発信したりと、アウトプットも大切にして学んでいくことが大切です。
自分の生活やキャリアについて考える力
テレワークや週休3日制度、ジョブ型雇用の推進など、今後ますます働き方における選択肢が広がってくると予想されます。
テレワークで住む土地が自由になったり、休みが増えて自分のために使える時間ができたり……。
そうなった時に、どうするか決めるのは自分!
だからこそ、自分が望む仕事のスタイルやキャリアについて、常に考える姿勢が大切になるでしょう。
アフターコロナの働き方の変化についていこう
アフターコロナでの働き方や、求められる力についてご紹介しました!
今から少しずつできることもたくさんあります。
- 自己管理を大切にする
- 小さな「気になる!」を育てる
- 自らのキャリアに責任を持ち、自ら学ぶ
- 自分が望むライフスタイルを常に考えるクセをつける
当たり前だったことが、当たり前ではなくなっていく時代。
社会の変化に対応できるよう、生き抜く力を身につけていきましょう!