2021.09.26

会社をクビになってしまった!解雇理由の確認と条件について

「会社を突然クビになった」または、「会社をクビになりそう」このような状況は誰にでも起こり得ます。会社をクビになった場合、解雇理由とその対処法について知ることが大切です。解雇の種類や不当解雇、相談先など詳しく解説していきます。

解雇理由は大きく分けて3つ種類に分類される


企業が会社員をクビにする理由は、大きく分けて3つに分類されます。
下記で詳しく見ていきたいと思います。

普通解雇


普通解雇とは、社員の能力不足や協調性の欠如、人員削減などの理由によって、解雇されることです。
企業が一方的に社員を解雇する形である為、労働保護の観点から厳しい制約が課せられます。

営業職などだと、成績が著しく悪い場合などが普通解雇に当てはまるかと思います。
また、採用時の時に経歴を詐称していた場合も、企業は社員を解雇できます。

普通解雇は企業が社員に原則として30日分の予告を義務付けています。
解雇予告手当に関しては、下記で詳しく解説しています。

懲戒解雇


懲戒解雇とは、社員が企業にとって秩序を乱すような行為をした場合、企業が一方的に解雇できることです。
例えば、

  • 社員が重大な経歴の詐称していた
  • 長期で無断欠勤した
  • 私生活での行いが著しく悪い

などが当てはまります。
懲戒解雇は普通解雇よりも悪質な条件が必要です。

また、懲戒された社員は次の転職先へ提出する書類に「自己都合退職」と書いてしまうと採用を取り消される場合があります。
懲戒解雇された社員は、その事実を隠さずに履歴書に記載するようにする必要があるのです。

整理解雇


整理解雇とは、人員整理の為に行う解雇のことです。

会社の経営不振によって、人員を削減しなければならないときなどに行われる解雇でもあります。
整理解雇には4つの要素があります。

  1. 人員削減の必要性があること
  2. 解雇回避の為に努力したこと
  3. 人員選定の合理性があること
  4. 解雇手続きの妥当性があること

整理解雇にも予告義務があり、「30日前の予告」が原則とされています。

法律におけるクビとは?


クビとは、企業が一方的に社員を辞めさせることです。
下記では、正しいクビの内容について詳しく見ていきたいと思います。

解雇:会社を一方的に辞めさせられること


解雇とは、会社を一方的にやめさせられることを言います。
解雇には上記で紹介したように、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇の3種類があります。

いずれの解雇にしても、解雇予告は30日前にすること、社員を解雇するにあたってきっちりとした理由があること、が条件として必要になります。

社員が会社に普通解雇を言い渡されても、解雇を無効としたケースもあります。

ケース1

仕事のミスが続き、上司に注意されたり、クレームを受けたりしていた。
その社員は人事考課で下位10%に入っていたが、東京地裁は「向上の見込みがないとは言えない」と判断し解雇を無効とした。

ケース2

精神的に追い詰められ、体の不調を訴えて欠勤していた社員に対し、解雇が言い渡された。
しかし、健康診断や休職を勧めなかったとして、最高裁は解雇を無効とした。

ケース3

髪の毛を茶色く染めた社員に対して、会社側はその件で始末書を書かせようとしたが、社員は拒否した。
この場合も福岡地裁は解雇を無効とした。

退職勧告:会社が社員に自主的に辞表を出すように促すこと


解雇の他にも退職勧告と言って、会社が社員に自主的に辞表を出すように促す行動をとることがあります。
具体的には、上司から会社を辞めるように促されたり、簡単な仕事しか与えてくれなかったり、窓際の席に追いやって、仕事を与えてもらえなかったり、ということが挙げられます。

もっと悪質な例もあり、退職届けを出すまで暴行を加えたり、社員全体で退職を勧めたりといったこともあるようです。

上記のように、社員が会社に退職勧告されても、最終的にどうするかは社員が判断します。
ですので、解雇のように一方的に社員を辞めさせることは全く違います。

会社は社員を解雇せず、なぜ退職勧告する必要があるのでしょうか。
その理由としては、会社が社員を解雇するには厳しい条件があるからです。

退職勧告という巧妙な手口を使って、社員を自ら辞めたように仕向けることで、会社のコスト削減や人員調整するのです。

もし、退職勧告されてどう対応したら良いのか分からない場合は、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談すると、不当な解雇を避けられたり、パワハラされた時などに損害賠償を請求できます。

また、自分で会社と交渉する必要が無くなるというメリットが挙げられます。
不安な気持ちを相談するのは、自分を守ることにも繋がってきます。

適切な解雇と不当解雇の見抜き方とは?


適切な解雇と不当解雇にはどのようなものがあるのでしょうか。
不当解雇かどうかを判断は、ケースバイケースなことが多いです。

会社の経営不振


会社の経営不振は不当解雇と考えられることが多いようです。
自分はリストラされたけど役員の報酬はそのままだった、というケースが当てはまります。

また、労働組合に入っていたことから、リストラの対象にされたというケースもあるようです。
会社の経営不振と言っておきながら、自分はリストラを言い渡され、他の従業員は報酬が変わらないのはおかしな話ですよね。

従業員の病気やケガ


従業員の病気やケガをした場合に解雇を言い渡された時も、不当解雇と言えるでしょう。
通院のための休みや、妊娠での解雇なども当てはまります。

仕事中に事故を起こしてしばらく仕事ができないから、という理由で解雇されたといったケースもあるようです。
特に「妊娠したから解雇」と言われた場合や、会社から産休や育休制度を勧められずに解雇を言い渡された時には、弁護士に相談しましょう。

業務態度


業務中の態度も場合によっては、不当解雇に当てはまるケースもあります。
「会議中に上司に意見を申し入れたら解雇された」「会社の一部の社員と不仲などが理由で解雇された」といったものです。

業務態度を注意されたと言ったことがなく、「態度が悪いから」という理由でいきなり解雇されたケースも不当解雇に当てはまります。

業務中の態度は他の社員にも影響してくる問題なので、会社側は態度の悪い社員に対して、解雇することはできます。
ですが、労働者の地位は法律によって固く守られている為、会社側は簡単に社員を解雇することはできません。

能力の不足


仕事の能力不足で解雇された、という場合も不当解雇として扱うことがあります。

  • 社内の人員が充足してきたので人員整理
  • 学的が低い
  • ノルマに達していない
  • 試用期間中に能力不足と判断される
  • 専門職として採用したのに能力不足

これらの原因でも不当解雇の可能性があります。
試用期間でクビになった場合も、労働契約が結ばれている以上、本採用を拒否するにあたって、解雇するには法律上一定の期間が設けられているのです。

不当解雇の場合対処法


上記で紹介した不当解雇ですが、不当解雇の対処法はどのようなものがあるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。

解雇を撤回してもらう


不当解雇を撤回してもらう為には、会社と交渉する必要があります。
直接会社と話をする、というのはためらう人も多いでしょう。

その場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
その際、会社から「解雇通知書・解雇理由証明書」を請求しておく必要があります。

法律に沿っている解雇なのかを確認する必要があるので、通知書や証明書を請求しておくとよいでしょう。

未払い賃金の請求


賃金が未払いの場合、会社は解雇を宣告しても、社員に賃金を支払っていない場合は賃金を支払う義務があります。
「お前は今日でクビだ」と、強制解雇を宣告されたとしても、会社側は働いた分の賃金はきちんと支払わなければなりません。

未払い賃金には、基本給、残業代、ボーナスといったものが挙げられます。
賃金が支払われないからといって、泣き寝入りするのではなく、弁護士などに相談するといいでしょう。

解雇予告手当の計算


会社は社員に解雇を宣告する際、30日以上前に解雇予告しなければならないと義務付けられています。
解雇予告する際、会社は社員に解雇予告手当を支払わなければいけないと決められています。

解雇予告手当とは?


会社が解雇したい社員に対して、少なくとも30日前に解雇の予告をしなければならない決まりのことを、解雇予告と言います。
解雇予告手当は、解雇する社員に必ず支払わなければいけない決まりとなっています。

つまり解雇予告手当とは、解雇日を早める時にもらえる手当てのことです。

解雇予告手当の計算方法について


解雇予告手当て1日分の計算方法は、下記の通りです。
直近3ヶ月分の賃金の総額÷3ヶ月の暦の日数

ですが、日給制や時給制、出来高制の場合は、下記の金額を下回ってはいけないと決められています。

解雇予告手当て1日分が下回ってはいけない金額
直近3ヶ月の賃金総額÷3ヶ月の間に労働した日数✕60%

具体的な例を用いて説明


例えば、時給制で直近3ヶ月分の賃金総額が18万円、暦の日数の日数が80日、労働した日数が20日だった場合、

①解雇予告手当て1日分
 =180,000(円)÷80(日)
 =2,250(円)

②解雇予告手当て1日分が下回ってはいけない金額
 =180,000(円)÷20(日)✕60%
 =5,400(円)

上記の場合①より②の方が高いので、平均賃金は5,400円になります。
30日分の解雇予告手当てが必要な場合は、下記のようになります。
 
 5,400(円)✕30(日)=162,000(円)

退職日に請求できる可能性があるもの


退職日に会社に請求できる可能性があるものは、未払いの賃金、退職金、雇用保険等があります。

未払いの賃金


上記でも解説しましたが、会社から解雇を言い渡された場合、これまでの未払いの賃金を請求できます。

請求する際、賃金の種類、金額を示す証拠が必要になります。
会社は社員を解雇する際、これまでに賃金を支払う義務があります。

退職金


会社によっては、退職金を支払わない、という場合も多いでしょう。
ですが、解雇の種類によっては、退職金を請求できる場合もあります。

懲戒解雇の場合、退職金を請求できる可能性があります。
退職金が全額社員に支払わなくてもよいとされているのは「社員が勤務していた年数を抹消してしまうほどの不信行為があった場合」が条件になります。

失業保険


懲戒解雇の場合でも失業保険をもらうことはできます。
懲戒解雇されたとしても、失業していることには変わりはない為、受給条件さえ満たせば失業保険を受給できます。

懲戒解雇されたので、失業保険がもらえないとあきらめる必要はありません。

クビを宣告されて、相談したい時


会社からクビを宣告されたら、心身共に疲労してしまいますよね。
誰にも相談できない環境だと、精神を病んでしまう人もいるかと思います。

ここからは、会社からクビを宣告されたことに対して相談したい時、誰に相談すればいいのかを説明します。

弁護士


会社から解雇を宣告された場合、弁護士は非常に頼りになります。
残業代の未払いや労災などの問題は1人で対処するのが難しいです。

そんな時、労働トラブルに詳しい弁護士に相談することで、どういった解決方法があるのか、を導いてくれます。
「不当解雇されて会社とどう争っていいのか分からない」「会社にどういった請求すればいいの」と悩んでいる人は弁護士に相談することをおすすめします。

労働基準監査署


不当解雇を相談する際、労働基準監査署に相談しようと思っている人もいるのではないでしょうか?
結論から言うと、労働基準監査署に相談するのはおすすめしません。

なぜなら、労働基準監査署は、労働基準に反した労働の実態について改善指導する場所だからです。
解雇は労働基準法ではなく労働契約法で決められています。

この時点では、労働基準監査署は不当解雇の撤退をできません。

労働組合


会社が労働組合に加入している場合は労働組合で相談するのも1つの方法です。
また、会社が労働組合に加入していない場合、個人加盟の労働組合に加入して協力してもらいましょう。

労働組合では、雇い止め、退職勧告といった不当解雇について相談できます。
相談する際、会社に関係している書類などは捨てずに持っておくようにしましょう。

そして、まず何が起きたのかを整理するところから始めていきましょう。
例えば、自分は会社に対して何を求めているのか、これからの生活はどう守るのか、そういった選択肢を用意しておいて下さい。

その後会社と団体交渉していきます。
団体交渉の際、なぜ解雇することになったのか、事情や背景を詳しく聞き出します。

そして、お互いが良い方向に進めるように話し合いをします。

都道府県労働局にあっせん申請


都道府県労働局へのあっせん申請とは、労働問題などがあった際に都道府県の各地域の労働局にあっせん申請できます。

ここでは、弁護士や社労士など専門家でつくられている委員会が仲を取り持ってくれるのです。
不当解雇についても相談できるので、不当解雇を言い渡された人は、泣き寝入りせず気軽に相談すると良いでしょう。

まとめ

会社からクビを言い渡されてしまった、という人はまず誰に相談するのかを決める必要があります。
特に弁護士や労働組合では不当解雇を相談できるので、準備することや会社からどんな請求をしたいのかまで細かく決めておくと良いでしょう。

専門家に相談することで、自分1人では知らなかった方法を知ることができ、労働問題を解決できるかもしれません。
悩む前にまずは行動することが、解決への第一歩です。

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Rolmy編集部(ライター)
Rolmy編集部

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